‘レース大会’で渡りを祝い、密猟を防ぐ

今年のバードウォッチング競争’フライウェイのチャンピオン’には15の国際チームが参加しました。
写真提供: Jim Lawrence/Champions of the Flyway

春が到来し、ツバメやコウノトリのような象徴的な夏鳥などの渡り鳥は、本能によって繁殖地への帰路を急いでいます。鳥の自然のリズムに魅せられた人たち、バーダーは渡りの奇跡を最もよく見ることが出来る場所に集まる準備をしています。

イスラエル南部の紅海沿岸のリゾート地エイラットほど渡りの観察に良い場所はありません。ここでは常に壮大な鳥の渡りが見られます。非常に多数の鳥が通過する自然のボトルネック状の地形であることに加えて、イスラエルはここより北の多くの国で渡り鳥が遭遇する恐ろしい迫害を受けることなく鳥が自由に飛ぶことが出来る数少ない場所の一つなのです。ピーク時にはノスリ、コウノトリ、ワシ類の渡りの群が上昇気流に乗りエイラットのムーン山脈の上空を帆翔します。渓谷の低地では到着したばかりのシギ・チドリ類が水辺のあらゆる場所で夢中になって採餌している様子を見ることが出来ます。

それに合わせてバードライフのイスラエルのパートナーSPNI(イスラエル自然保護協会)はバードライフ・パートナーシップのために‘フライウェイのチャンピオン’と呼ばれる24時間バードソンを毎春エイラットで開催し(今年は3月29日)、渡り鳥の苦境にスポットをあてる取り組みを行っています。世界中で渡り鳥の40%が減少していることから、メディアの注目を集めることは極めて意味のあることです。

鳥の密猟問題に世界の眼を集めるよう上手くデザインされたこのプロモーション・イベントは今年で3年目を迎え、今回は15の国際チームが参加します。世界的な主導的バーダーや有名人も参加し、ソーシャル・メディアを通じて彼らの多くのファンと共有します。

このイベントは、地中海・黒海フライウェイでの渡り鳥への差し迫った脅威に取り組むために世界中の認知度の向上と、資金獲得も目的となっています。およそ50万羽が移動するこの地は世界で2番目に大きな渡りのルートなのです。

 ‘フライウェイのチャンピオン’には他にはない特徴があります。他の多くのバードウォッチング・レースとは異なり、素晴らしいバードウォッチングの経験を共有する喜びを味わうことができます。‘チャンピオン’と呼ばれる著名な参加者はイベントの準備段階から積極的に自身の参加をアピールし、盛り上げていきます。彼らは競技時間中にツイッターを通じて彼らの観察状況や進展度をリアルタイムで示し、フォロワーはこのイベントの熱狂をライブで経験できるのです。誰もがTwitterやFacebookで参加出来るのです。

‘フライウェイのチャンピオン’イベントは毎年異なる国にスポットをあてて、鳥の密猟問題に取り組む主導的保護団体を支援します。今年はギリシャのバードライフ・パートナーHOS(ギリシャ鳥類学会)がイベントで集まった資金を受け取る予定です。

HOSは二つの問題に優先的に取り組む予定です。一つは世界的な絶滅危惧種になったコキジバトなどのギリシャの島々での違法な射撃で、もう一つはゴシキヒワなどの小鳥を飼育用に違法に罠で捕え(しばしば鳥種の見境なく)ギリシャ本土で売買している問題です。

24時間内に最も多くの鳥を見たチームには‘フライウェイのチャンピオン’の称号が与えられ、保護のための最大額の資金を集めたチームは‘フライウェイの守護者’として表彰されます。

 

報告者: Jim Lawrence

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