毒性の高い銃弾の使用禁止に失敗

オジロワシ
写真提供: © BZD/ Flickr

欧州委員会はこの日、銃弾への化学物質の使用を引き続き認める発表を行うことになっており、欧州の野鳥は今後も鉛害の危険に晒され続けるでしょう。

鉛弾の使用は、毎年数千羽の野鳥の死因でありながら、EUの化学物質規制‘REACH’により限られた範囲でのみ規制されています。

REACHでは銃弾への鉛の使用はいわゆる‘規制の過程’を通して完全に禁止されるはずでした。残念ながら欧州委員会は湿地における鉛にのみ重点を置くことにしたのですが、湿地は既に何年も前から鉛弾の使用が禁止されているはずの場所だったのです。こうした方針により、欧州委員会は他の環境における鉛弾やライフルの銃弾による被害を無視することになってしまいました。

鉛は鳥にも人にも同様に極めて毒性の高いものです。オックスフォード大学の研究によれば、英国だけで毎年5万~10万羽の鳥が鉛害で死んでいます。カモ類やシギ・チドリ類はしばしばグリット(砂嚢内の小石: 消化を助ける働きをする)と間違って鉛弾(小型のもの)を飲み込んでしまい、その毒性によりゆっくりと苦しみながら死んでしまいます。

ワシタカ類の鉛害も、EU全域で度々報告されています。その一例が毎年秋になると鉛弾を含んでいる動物の死骸を食べてしまうオジロワシです。オジロワシや、ハゲワシなどの他の猛禽類はイノシシなどの狩猟動物の死骸を食べます。多くのイノシシが撃たれたその場では死なず、ハンターに見逃されてしまいます。これらの死骸を食べた猛禽はしばしば鉛弾の破片を摂取してしまい、鉛害で死んでしまうのです。

EUも署名している国連渡り性野生動物種保護に関する条約(CMS: 通称‘ボン条約’)は署名国に対して3年以内に全ての鉛弾の使用を止めるよう求めています。デンマークやオランダなど幾つかのEU加盟国は既に禁止しています。部分的な禁止では効果がなく、強制力もないことがわかっています。例えば英国では鉛弾は湿地でのみ禁止されていますが、調査の結果ではイングランドで撃たれたカモ類の70%の体内には鉛弾がまだ残っていることが分かりました。この数字にはスコットランド、ウェールズ、北アイルランド(英国本土の4つの非独立国のうちイングランドを除く3国)は含まれていません。

欧州委員会の発表を受けてバードライフ・ヨーロッパおよび中央アジアの政策部門長のAriel Brunnerは次のようにコメントしました。「EU内での鉛弾の完全な禁止が必要なことは明々白々です。欧州委員会は野生動物と市民を鉛害から守り、CMSの定める義務を全うしなければなりません。」

「スチール弾や改造弾など鉛弾に代る銃弾はいつでも入手できます。鉛弾の禁止を遅らせることには何の理由もありません。」

 

報告者: バードライフ・ヨーロッパ

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