ネパールでのコミュニティ林業により自然と人々がどのように利益を得ているかについての考察

ネパールは高山の草原、中程度の標高にある森林、タライと呼ばれる平原地帯など同国の変化のある地勢により野生生物の豊かな多様性の恩恵を受けています。この自然の多様さが同国の経済の多くを支えています。家計のレベルでは数百万人の人々が食糧や燃料を自然資源に依存しており、国家レベルの所得ではサイ、トラ、レッサーパンダを見にやって来る外国からの観光客から得ています。

ネパールはコミュニティ林業での先駆的活動で世界でもよく知られており、その活動は劣化した土地の再生や地域社会の生計改善を助けています。生物多様性のための最新の国家計画でネパール政府は生物多様性の保全をコミュニティ林業プログラムに組み入れることを約束しました。すなわち、人にも自然にも良い戦略の策定です。

BCN（ネパール鳥類保護協会：　同国のバードライフ・パートナー）は森林局およびFECOFUN（ネパールコミュニティ林業利用者連盟）と共同で‘ネパールのコミュニティ林業への生物多様性と生態系サービスの主流化’プロジェクトを立ち上げるために8月4日～5日に2日間のワークショップを開催しました。英国の‘ダーウィン・イニシアティブ’の資金支援によるこの3ヵ年プロジェクトは地域社会が地域の森林の生物多様性から最大限の利益を確保することを目的にしています。

「これらの利益は遠大なもので、森林の健康状態につながっています。それには文化的価値の保全、雇用と所得の創造、水供給の維持、気候変動への回復力の強化、伝統的な薬剤の保全などが含まれます。」とバードライフ・インターナショナルのプロジェクト・オフィサーBilly Fairburnは言いました。

このワークショップを通じて政府やNGOからの20人の参加者が生物多様性はコミュニティ林業でどのように守られているか、生物多様性が地域社会にもたらす利益、また多くの地域社会が直面する課題などに対する重要な考察を提供する論文を提出しました。

 

重要な考察

例えばUNDP（国連開発計画）のPragyajan Yalamber Rai（講演者）は気候変動への回復力を増すための方法として、多様な種類の木を植えることによりどのようにChihaan Dandaの地域森林利用者グループ(CFUG)が劣化した土地を再生しているかを記述しました。

Arati Khadagi（ＷＷＦのプログラム・オフィサー）はどのようにしてJagdishpur貯水池上流のコミュニティが貯水池の沈殿化を減らす方法で森林を保全し、土地を管理し、それにより下流の住民の灌漑用水にも益しているかを記述しました。

UNDPのプロジェクト・オフィサーの K P Yadavは Dang地方のKalikaのCFUGがハゲワシとその塒および営巣地を保護することによりどれ程の利益を得ているかというケース・スタディを示しました。通称‘ハゲワシ・レストラン’と呼ばれるハゲワシの採餌場所に集まる群を見るために観光客は進んでお金を払うのです。

「これらのどの場合でも地元コミュニティは地域森林における生物多様性の管理と保護による利益を得ています。」とバードライフ・インターナショナルのコミュニティ・生計手段部門のヘッド David Thomas は言いました。

このような‘良い実施例’からの教訓を学ぶことは、生物多様性の保護をより直接的に地域森林の管理に導入するための将来性のある機会をもたらします。すなわち、‘人にも自然にも良い’森林を作るのです。

森林局のKrishna Prasad Pokharel氏は非常に前向きに地域森林の生物多様性と生態系サービスを中心に置く政府の決議を再確認し、今後の機会と課題の概要を述べました。今回のワークショップは前・森林・土壌保全局の事務局長で森林及び環境の専門家Udayraj Sharma博士による影響力の大きいコメントにより閉会しました。彼はネパールの地域森林の貢献を今後公正で持続可能な開発と自然保護に向けたものにする上での、このプロジェクトの重要性を支持しています。

原文はこちら

報告者：　By Billy Fairburn