コミュニティ・フォレストリーが自然と人に利益をもたらす

ネパールのコミュニティの森林を、コミュニティにとっても森林にとっても
確実に最良の管理を行うためのプロジェクトにバードライフが着手しました。

自然な環境はネパールの多くの人々、特に貧しいコミュニティの住民の幸せにとって欠くことが出来ません。多くの生計手段を森林に依存しており、森林は人々に生態系サービスと呼ばれる経済的利益、健康や社会的利益をもたらします。広大な森林ほど健全で、より多くの生態系サービスを提供します。同様に、生物多様性のために森を管理することは実際には人々のために森を管理していることであり、そうすることにより貧困を緩和することも出来るのです。

英国のダーウィン・イニシアティブからの資金支援により、バードライフはネパールのコミュニティ林が確実に持続的に管理されるためのプロジェクトを開始しました。バードライフはネパール鳥類保護協会(BCN: バードライフ・パートナー)、ネパールコミュニティ林利用者連盟 (FECOFUN)、同国森林局のコミュニティ林部と共同で、ネパールのコミュニティ林が持続可能でない管理のために現在直面している多くの問題に取り組む活動を行います。

コミュニティ・フォレストとは何か?

このプロジェクトには森林管理官の訓練に生物多様性と生態系サービスの統合が含まれる予定です。 写真提供: David Thomas / BirdLife

このプロジェクトには森林管理官の訓練に生物多様性と生態系サービスの統合が含まれる予定です。
写真提供: David Thomas / BirdLife

ネパールでは共有地を国が所有していますが、モニターや管理をするキャパシティがないことが多く、またそのためにコミュニティによる資源の過剰利用がしばしば起ります。コミュニティ・フォレストリーでは地域社会そのものが森林管理とその利用決定に重要な役割を持っており、ネパールではこれが‘森林利用者グループ’の設立により導入されました。コミュニティ林の管理は福祉と生計の改善のための‘国家生物多様性戦略と行動計画(NBSAP)’によっても認められています。

自然保護活動、良好な管理、地域の生計手段の持続可能な開発の統合化に関して言えば、ネパールのコミュニティ・フォレストリーのプログラムは世界のサクセスストーリーの一つと考えられています。

しかしながら、生物多様性や社会的公平性、コミュニティの回復力は最大化されていないという証拠があります。多くの場合用いられる計画の枠組みは材木生産に集中しており、これは往々にしてコミュニティのエリート層の利益のためのものです。地元民は多くの場合自分たちの森林がもたらす生物多様性の価値や生態系サービスに気付いていません。森林管理計画は希少種や固有種の保護や、地域コミュニティに対するそれらの潜在的な価値に向けられていません。

持続的に管理された森林はコミュニティにとって多大な利益があります。 写真提供: David Thomas / BirdLife

持続的に管理された森林はコミュニティにとって多大な利益があります。
写真提供: David Thomas / BirdLife

生物多様性と生態系サービスを森林管理官の訓練およびコミュニティ林の管理の運用手順に統合することにより、このプロジェクトは生物多様性の価値への関心を高め、地域住民が森林を管理し持続可能な方法で利用するステップになるでしょう。訓練、関心の喚起、そのためのツールの準備は生物多様性と生態系サービスを地域レベルでの森林管理と一体化させ、またそれに続く計画の実行により生物多様性保全と生計手段のための利益がある地域森林が持続的に管理されるでしょう。

バードライフにはネパールの地域社会と共同で活動した経験があります。2005年にBCNは‘地域森林使用者グループ’を彼らによる森林への圧力を軽減する方法の討議会に招きました。その後、支援と訓練により、これらのグループは保護と開発活動のための収入を生み出しました。

生物多様性のための持続可能な森林管理がコミュニティへもたらす利益

  • 文化的価値の保全
  • 雇用と収入の創造(例: エコツーリズム)
  • 水の供給の維持
  • 回復力の強化(多様な生態系と経済は環境への衝撃や気候変動に対してより回復力がある)
  • 伝統的な医術・薬剤の保全
  • 公平性の強化
  • より多様な財や利益の公平な分配によって女性に力を与えること

(報告者: ショーン・ハレル)

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