ヨーロッパの狩猟協会が野鳥の密猟に対して立ち上がった

18世紀と19世紀にドイツ人の旅行者がイタリアを訪れた時、彼らは古代遺跡に魅了されただけでなく、アフリカに面した海岸線に張り巡らされたカスミ網の列に強い印象を受けました。今日、このような持続可能ではない狩猟方法はイタリアの海岸から姿を消しました。これは1969年にカスミ網が禁止されたことによりますが、その10年後には‘野鳥指令’としてEU全域で正式に定められました。

‘野鳥指令’そのものは1974年の‘渡り鳥を守ろう’という欧州議会の請願により始まったもので、最初は殺虫剤の広範囲な使用と、それによる健康な野鳥が必要とする天然の餌への劇的な影響の問題を提起しました。次に、欧州共同体(EC)と国連環境プログラム(UNEP)に対して野鳥の迫害対策とECの狩猟規制対策の採択が求められました。それから40年後の今日、私たちは当時の懸念に対して成功と失敗が入り混じった状態を目のあたりにしています。

若干の進展は見られるものの、地中海沿岸での野鳥の無差別な大量殺戮が行われているということは今でも広く認識されています。

この懸念は正当なものです。EU(欧州連合:1993年以後前述のECに代りEUと呼ばれている)においては‘野鳥指令’はハンターが野鳥保護において果たすべき役割を認識する上で積極的に貢献しましたが、渡り鳥への脅威は残っており、それは自然保護、環境復元のための資源投入、野鳥のモニタリング、野生生物への犯罪を防ぐための数百平方キロメートルの取り締まりなどに抵抗する勢力としてハンターの名声を損なっています。

EUでは全ての野鳥が‘野鳥指令’により守られています。狩猟は狩猟期など非常に明確な条件の下、限られた種に対して調整と管理の形態として認められており、また合法的な狩猟方法も定められています。この法的枠組み以外の狩猟はすべて違法なのです。違法な狩猟という言葉は矛盾した表現なのです。

FACE(狩猟・自然保護協会連合会)は、持続可能な利用原則を支持するこの欧州全域での枠組みに従っています。この原則は、野鳥の保護に対して何らの先入観を持ってはならず、‘持続可能である限り野生生物資源の利用は、それがもたらす社会的、経済的利益は人々に自然保護へのインセンティブを提供するので、保護のための重要なツールになる’ことを認識するものです。これはIUCN(国際自然保護連合)の野生生物資源の持続可能な利用に関する政策声明(2000年)から引用されています。

法に定められたこと以外の野鳥の殺傷は犯罪だとされています。FACEは違法活動を糾弾する確固たる立場を取っていますが、持続可能な方法で行われる野鳥の捕獲は合法であるという主張を強化するからです。EUにおける法制度は、最近二人の著名な当局者が述べたように、決して手ぬるいものではありません(2015年3月3日付‘ガーディアン紙’)。この35年の間に‘野鳥指令’は28のEU加盟国すべてで細心かつ広範囲に実行されました。欧州委員会による監視は世界で最も厳しい野鳥に対する環境のセーフティ・ネットを確保しています。それにもかかわらず、科学的調査により生物多様性と生息地の喪失が野鳥の減少の主要因であることを示しています。

欧州のハンターはEUの境界外での鳥の密猟問題に取り組むためにリーダーシップを示さなければなりません。そこでは多くの渡り鳥が持続可能でなく、絶滅の恐れさえある方法で待ち構えるハンターに晒されるからなのです。FACEは‘鳥の密猟と違法取引をなくすためのEUのロードマップ’作成でバードライフと共同で作業を行っています。これはこの問題に対する当局の理解を高め、違法行為を根絶するための行動計画を展開する道を求めるものです。

(報告者:EU狩猟・自然保護協会連合会(FACE)事務局長 Filippo Segato)
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