鳥のための泥と温泉:Rusanda湖の特別な科学的性質
熱心なパン屋にとってそれは単なるケーキやビスケット用の材料です。けれども、Rusanda湖では焼いたソーダにもっと多くの意味があります。セルビアに4つしかないうちの一つであるこのソーダ湖は過去一世紀以上に亘ってアルカリ性で、セラピー効果が高く、ミネラルが豊富な泥を産出して来ました。湖とその独特のアルカリ分は鳥にとっても特別なホットスポットです。
広さ約400ヘクタールで水深の浅いRusanda湖は、およそ230種の鳥のIBA(重要生息環境)です。セルビアのバードライフ・パートナーのBPSSSや他の献身的な人々のお蔭で同湖とその周辺地域(合計1,160ha)は2014年7月に遂にRusanda国立公園に指定されましたが、この決定の影響は既に見られています。
ナトロン(ソーダ)は自然に発生する炭酸ソーダを含む物質で、それ故、この湖は留鳥や単に通過するだけの多くの鳥に特別な環境を提供します。ここでは渡りの途中の避難場所としてRusanda湖にやって来るカモ類、カイツブリ、ガン、ツル、シギ・チドリ類など様々な鳥を見ることが出来ます。また、ここはセルビア最大のチョウゲンボウ、ニシアカアシチョウゲンボウ、トラフヅクの繁殖地ですので、空を見上げれば猛禽類の飛ぶのが見られます。この他にも、ハジロカイツブリ、カンムリサギ、セイタカシギ、アカアシシギなどがここで繁殖します。
湖の底から採れるセラピー効果のある泥はミネラルを豊富に含み、1867年以来病気の治療に用いられてきました。湖北岸のRusanda温泉はこの泥を最高の温泉治療法として使っており、また同温泉はセルビア有数の休養と娯楽の場所と考えられています。同温泉は自然保護にも熱心なことから国立公園のサイト管理者の役割も任されています。この成功話はエコ・タイプの観光業がどれ程仕事や人々や自然に恵みをもたらすかを示すものです。
このようなことに加えて、地元のコミュニティがこのエリアを保全する活動に大いに乗り気になり参加するようになりました。例えば、小型のハヤブサやフクロウには営巣場所が重要なので、彼らは40個の巣箱を掛けました。スズメやホシムクドリなどの小鳥にも60個の繁殖用巣箱が掛けられたことも忘れてはなりません。これらの巣箱は熱心なバーダーが鳥の繁殖を観察しやすくし、また巣立ち前に雛に足環をつけることにより個体群のモニタリングに大いに役立ちます。その他の活動には、バンディングのキャンプ、地域の清掃活動、教育用の情報板の設置、鳥を自然環境の中で見る時に隠れることが出来る観察シェルターの設置などがあります。
この特別な場所を保全するための次のステップは、Rusanda国立公園をラムサール条約の登録湿地にすることでしょう。これは同公園が受けるに値する国際的な認知を得るもので、また常に同地が受けている密猟や他の犯罪行為と戦う上で同公園をより強い立場に置くでしょう。
報告者:バードライフ・ヨーロッパ
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