サントメ・プリンシペでの野鳥保護のためのミステリー解明

サントメテリハトキ
写真提供:Nik Borrow

知識不足がサントメ・プリンシペでの絶滅危惧種の保護活動に対する妨げになっています。例えばサントメ島の固有種で絶滅危惧ⅠA類のサントメテリハトキ(写真)などがそのケースです。本種の繁殖行動があまり分からず、そのためライフサイクルの中で重要なこの時期に必要な保護対策を決めることが困難なのです。

バードライフとの協力によるABS(サントメ生物学者協会)の努力のお蔭で、Hugulay Maiaに率いられた研究者チームがサントメテリハトキの繁殖行動の重要な特徴の一部を明らかにすることが出来ました。2009年に行われた彼らの研究結果が‘アフリカ・バード・クラブ会報’(2014年9月号)の最新号で発表されました。この発見は本種の生き残りにとって重要です。

サントメ島での森林伐採がサントメテリハトキの繁殖に対する脅威になっているように思われ、姉妹島のプリンシペ島での本種の絶滅の主な原因です。

研究はサントメ島南部のモンテカルロで行われましたが、ここには同国最大のアブラヤシの農園があります。他の多くの発見と同様、今回の発見もある大雨の日に行われていた調査活動で偶然起きました。状態の良い巣が体系立ったモニタリングが行われている場所で発見されたのです。論文の著者たちは、この発見はEmolveの地域コミュニティの野鳥保護への関心の高さのお蔭だと言っています。ABSは2005年以来地元のコミュニティと一緒に保護活動を行っているのです。

ギニア湾への調査隊を率いた鳥類学者Jose Correiaは、1928年11月に繁殖段階のメスを観察した時の彼が正しかったことを知ればハッピーでしょう。この事実は81年後の2009年11月29日にABSが発見した、本種の繁殖シーズンは11月から1月であることで確認されたのです。ABSは、本種は一巣当たり2個の卵を産むこと、および抱卵期にはオスとメスの役割が異なることも確認しました。

サントメ・プリンシペの絶滅危惧固有種の生態を解明しようとする調査に加えて、ABSは今回サントメテリハトキが発見されたエリア近隣のAngolares, Ribeira Peixe, Malanza, Dona Augusta および YoGrandeのコミュニティと共同で、生物多様性保護に必要な住民の関心を高める活動を行っています。

2014年2月、バードライフ・パートナーシップのメンバー、環境総局代表、オボ国立公園の理事、ABS、他のNGO及び地元コミュニティのメンバーが参加したイベントで絶滅が危惧される固有鳥類保護のためのアクションプランが承認されました。この計画にはこれらの鳥への脅威を減らす上で効果のある方法が示されています。

結論として、サントメ・プリンシペの絶滅危惧鳥類の保護のためには彼らの生存を脅かす問題を解決することが不可欠です: 即ち森林伐採と無規制の狩猟です。これら2つが現在最大の脅威になっているのです。森林伐採が姉妹島プリンシペ島でのサントメテリハトキの絶滅の主因と考えられることから、サントメ島で同じことが起きてはなりません。

注) サントメ・プリンシペ: 正式国名はサントメ・プリンシペ民主共和国。西アフリカのギニア湾に浮かぶサントメ島、プリンシペ島および周辺の島々からなる共和国。公用語はポルトガル語。首都はサントメ市。人口約16万人。

(報告者:Obaka Torto)

 

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