スペインで海鳥の保全に大きな前進

アカハシカモメ
写真提供:Thanos Kastritis

スペインの画期的な法律で海洋保護区の面積が20倍に増える

スペインは正式に39カ所の新しい海洋保護区を定めました。新しいサイトは‘欧州野鳥指令’に基づいて指定された‘野鳥特別保護区(SPA)’です。SPAは陸上の既存のネットワークを補完して、海鳥を海上でも保護するものです。

大西洋と地中海に海岸や島嶼を持つスペインは欧州の海鳥にとって極めて重要です。そこには欧州で最も絶滅が危惧されるヨーロッパミズナギドリや、地中海の固有種チチュウカイミズナギドリ、アカハシカモメ(上段の写真)などが含まれます。

この発表はバードライフのスペインのパートナーSEO/BirdLifeの永年の懸命な努力が結実したもので、SEO/BirdLifeはこのプロセスにおいて重要な役割を果たしました: 39のサイトはそれぞれがほぼ10年に及ぶ科学的調査により同組織により特定されたマリーンIBA(IBAは鳥を指標とした重要自然環境でその海洋版)を厳密に反映しています。

以前はスペインの海鳥保護サイトのネットワークは殆どが海鳥のコロニーや海岸沿い、島嶼など小さなサイトで構成されていました。これらのサイトは殆どは海鳥が陸に居る時に保護するもので、彼らがその時間の大半を使う環境である海で保護するものではありません。今回の新しいサイトは、その多くが面積も大きく外洋エリアも含み、これまでのスペインの野鳥保護区ネットワークに5万平方キロメートルが加わるもので、一気に20倍の増加になります。

「今回の発表は極めて重要です。今や海鳥はスペインの岸から離れている時にも保護されるのです。注意の行き届いた管理により、これらのサイトは絶滅が危惧される海鳥に真の変化をもたらすでしょう。」とSEO/BirdLifeの理事Asunción Ruizは言いました。

これらのサイトを特定するためにSEO/BirdLifeが行った実地活動には、何年にも亘る海鳥の追跡調査と海における彼らの習性の理解が含まれています。マリーンIBAに関する情報はバードライフの‘マリーンE-Atlas’上に掲載されています。欧州全土でこれらのサイトはEU法の下で保全されるべきサイトの‘影のリスト’(基となるリスト)の働きをします。

「スペインが沖合のサイトを指定する方向へ動いたことは非常に今後が期待できることで、他の欧州諸国もスペインに続くことが海鳥の保護にとって不可欠です。とバードライフの欧州海洋保護オフィサーのMarguerite Tarziaは付言し、「これらのサイトが追加されたことは、スペインが海上での海鳥保護の地域リーダーの一国になったことで、他のEU諸国に後れを取っていたことから離脱したことを意味します。次のステップは、今回の前向きな一歩が真の保護の実現を確かなものにするための強力で効果的なサイトの管理が含まれます。」と言いました。

報告者:エロディー・カンタルーブ

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