鳥たちを光で惑わせないために 夜間の照明を工夫して、鳥もエネルギーも守る
若いオニミズナギドリ(Cory’s Shearwater)が、小さな島の巣を離れ、これから生きていく海へと旅立とうとしています。
10月半ば。涼しい夕風が吹くなか、ミズナギドリの物悲しい鳴き声が水面に響きます。幼鳥たちは真夜中に巣を飛び立ち、星と月の光を頼りに海へ向かいます。
野生生物に及ぼす人工照明の影響
しかし、人間の活動が拡大し、都市や集落が海岸沿いに広がるにつれて、月や星の光をかき消すほどの人工照明が夜を照らすようになりました。強い光に惑わされた海鳥は、建物などに衝突したり、方向を見失って疲れ果て、地上に落下したりすることがあります。
大西洋に浮かぶマデイラ諸島、アゾレス諸島、カナリア諸島では、人工照明によって方向感覚を失った海鳥が毎年1万羽以上も保護されています。また、光害の影響を受けるのは海鳥だけではなく、昆虫やコウモリ、渡り鳥にも及んでいます。
地域の人々とともに、より良い照明を
BirdLifeのポルトガルのパートナーであるSPEA(ポルトガル鳥類研究協会)が主導する「LIFE Natura@night」プロジェクトでは、自然保護関係者、照明関連企業、地方自治体が協力して、光害を減らすための解決策に取り組みました。
プロジェクトチームは、人工照明の影響を受けやすい生物やリスクの高い地域を特定するため、2万3,500匹以上の昆虫を調査し、コウモリや海鳥をモニタリングしました。さらに、漁業関係者やボランティア、学生、地域住民など1万人以上が活動に参加し、約1万7,000人の児童・生徒・学生が環境教育の取り組みに参加しました。
わずかな工夫で、鳥とエネルギーを守る
長年の調査から、照明のわずかな工夫でも大きな効果が得られることが分かりました。照明を地面に向け、明るさを適切に調整し、暖色系の光を使用する。そして、本当に必要な時だけ点灯する。こうした対策によって、野生生物への影響を抑えると同時に、エネルギーやコストを削減できます。
光害は現在、世界で急速に拡大している汚染の一つです。ヨーロッパと米国では人口の99%が、人工照明によって本来より明るくなった夜空の下で暮らしており、生物多様性だけでなく、人間の健康にも影響を及ぼしています。だからこそ、今回の成果は、ほかの地域にとっても一筋の希望となります。
プロジェクトでは地方自治体と協力して「公共照明マスタープラン」を策定し、マデイラ諸島、アゾレス諸島、カナリア諸島でその有効性を実証しました。プロジェクトを率いるCátia Gouveia氏は、こうした解決策をさらに多くの地域へ広げ、夜というかけがえのない時間と空間を、生物多様性と人々の双方のために守っていきたいとしています。
原文
(本文を一部編集しました)
No more blind birds: Reducing light pollution saves birds and energy




