モロッコのホオアカトキが記録的な繁殖シーズンを終えた
絶滅危惧ⅠA類のホオアカトキ最大の完全な野生個体群が、調査開始の1980年代以来最大数の繁殖ペアによる、記録上2番目となる繁殖成功シーズンを送りました。モロッコ南西部のスース・マッサ国立公園と近くのタムリのコロニーで148羽の若鳥が巣立ちし、繁殖シーズンの終わりには合計の個体数が443羽に達しました。
かつては北アフリカとヨーロッパに広く分布していたホオアカトキは現在二つに分断された個体群として生き残っています。モロッコの最東端に生息するトルコのBirecikで半捕獲された個体群と、その南のシリアのパルミラに居る少数の残存個体群です。
モロッコの個体群の管理と保護は、SEO/バードライフ(スペインのパートナー)が‘水と森林および砂漠化との戦いに関する高等弁務団’とGREPOM(モロッコのパートナー)と協力して行っています。SEO/バードライフはコロニーの保全とモニターのために7人の監視員を雇用しましたが、そのための資金はバードライフの‘絶滅阻止プログラム’による‘種の保護者’であるプリンス・アルバート2世より提供されました。監視員の役目は毎日新鮮な水を鳥に与え、攪乱を防ぐことです。今年彼らは国立公園内のサブ・コロニーの一つからなかなか去ろうとしない釣り人のグループの説得に成功し、そこでトキが営巣を始めることを可能にしました。
タムリのコロニーは2月の初めから繁殖を開始しました。恐らく雨が少なかったことが原因で完全に繁殖が失敗した2012年とは反対に、今年は60のペアが71羽の雛を巣立ちさせるのに成功しました。スース・マッサ国立公園では繁殖は3月第一週まで始まりませんでした。6ペアが居たサブ・コロニーの一つではラナーハヤブサにより営巣が妨げられましたが、ハヤブサは定期的に巣のある岩棚に飛んでくるためにトキはここでの繁殖を放棄したのです。他の場所に居た残りの53ペアは77羽のヒナを育てました。
今年の繁殖成功の原因の一部は気候が良かったことで、2012年9月から2013年4月にかけて200㎜の降雨があり、それによって餌が十分に取れたのでしょう。
「私たちのモニタリングではスース・マッサのホオアカトキの個体群には1993年に本種の保護を開始して以来最大の繁殖ペアが含まれており、調査を開始した1980年代から数えても最大です。2004年だけが巣立ちした雛の数が今年よりも多かったですが、もしラナーハヤブサのテリトリー行動がなければ、今年は2004年を超えていたでしょう。」とSEO/バードライフのJorge Fernández Oruetaは言いました。