オーストラリアでズキンチドリを救出

絶滅危惧種のモニタリングには多くのやり方があり、個体群や営巣行動の観察だけでなく、個々の鳥に注目する方法もあります。

先ごろ、ビクトリア州サーフ海岸のロードナイトで、ビーチ・ネスティング・バード・プロジェクトを支援するバードライフ・オーストラリア(同国のバードライフ・パートナー)のボランティアの一人ジェオフ・ゲイツが、‘KM’の記号が脚に付いている具合の悪そうなズキンチドリを見つけました。この個体は片足で跳んでおり、近くの岩場で採餌している他の6羽のズキンチドリの小群と一緒に行動するのが難儀のようでした。ジェオフはおよそ15分間この鳥を見ていましたが、この鳥のどこが悪いのか分かりませんでした。写真を撮ったところ何かがきつく足首に絡まっており、肉にまで食い込んで鳥の動きを制限していることが分かりました。

ジェオフは直ちにビーチ・ネスティング・バード・プロジェクトのマネージャーのグレイン・マギュアに連絡し、一緒にKMを救う計画を立てました。

グレインが急いでメルボルンから現地へ向かう間に、ジェオフは近くのエアレイズ入江に住むこの鳥の救出に熱心な獣医リズ・ブラウンにコンタクトしました。

海岸に到着して僅か数分の間にグレインは傷ついた鳥を捕らえるのを容易にするために、上手にKMを群れから隔離することに成功しました。

KMを手に取るとナイロンが脚に絡まっているのが容易に見ることが出来ました。リズ博士は直ちにこの糸を取り除き、怪我をした鳥に防腐軟膏を塗り、抗生物質を注射しました。

次にこの鳥に付けられていた金属の標識を怪我で腫れた脚から取り外し、新しい足環を健常な方の脚に取り付けました。

厄介な手当ての後KMはリリースされ、怒ったように叫びながら群れに戻って行きました。この様子を双眼鏡で見て、グレインとジェオフは、KMがまだ多少脚を引きずり気味でしたが、怪我をした方の脚も使っているのを見てホッとしました。

手伝ってくださった皆様に感謝です。

この話は、絶滅の危惧のある鳥をしっかりと観察することにより、バードライフ・オーストラリアのボランティアとスタッフ達が真の変化をもたらし、オーストラリアの鳥に明るい未来をもたらすということに気づかせてくれます。もしKMが何もされずにいたら疑いもなく脚を失い、多分その結果死に至っていたでしょう。1羽のズキンチドリが居なくなってもそれほど大きな違いがあるとは思えないかも知れませんが、個体数がこれほど少ない種の場合は僅か1羽の喪失でもその影響は多大です。

今後数週間内にロードナイト・ポイントを訪問される方はKMに注目し、元気で居るかどうかを私たちにお知らせください。

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