鳥をカウントして野鳥保護を支援

キレンジャク 写真提供:©KOO/Shutterstock

世界中のバードウォッチャーが2月17日~20日に行われる‘裏庭の鳥の大カウント会’に参加しました。

1998年に第1回の「裏庭の鳥の大カウント会(GBBC: Great Backyard Bird Count)」が開催された後、多くのことが変わりました。けれども、今では世界的になったこのイベントへの参加者は年々増加しており、彼らの熱意は揺らぐことがありません。第20回GBBCは2月17日~20日に開催され裏庭、公園、ネーチャーセンター、ハイキングの道、学校のグランド、バルコニー、海岸など鳥が見られるあらゆる場所が会場となりました。

参加者はこの期間の一日または数日にかけて、15分間あるいはそれ以上の間に見た鳥をカウントし、birdcount.orgにその記録を入力します。全ての記録は鳥の分布データの一部となり、過去20年の変化を知る助けとなります。

「第1回目のGBBCは実験でした。」とコーネル大学鳥類学研究所のeBirdプログラムの主導者Marshall Iliffは言っています。「皆さんが観察記録をインターネットで送ってくれるかどうかを見たかったのです。実験は大成功でした。」eBirdは一年中世界中から鳥の観察記録を集めており、GBBCが利用するオンラインシステムとなっています。

第1回目の年には米国とカナダのバードウォッチャーが約13,500の記録リストを送ってくれました。直近の2016年のイベントを見ると、100ヶ国以上、推定163,763人のバードウォッチャーが162,052のデータを提出し、5,689種の記録を報告しました。これは世界の鳥の種の半分以上です。

「GBBCは市民科学への格好の入り口です。世界の鳥の個体数のスナップショットをボランティアが撮り、気候変動が鳥に及ぼす影響の解明に貢献できるようなプログラムは他にはありません。」とオーデュボン協会(米国のパートナー)の副会長で主任科学者のGary Langhamは言っています。

今冬の変動する気象条件が生み出している傾向は、GBBCへの参加者も垣間見ることが出来ます。eBirdの報告によれば、より多くの水鳥やカワセミが開水域を見つけて通常の年よりも長く北に留まっています。

さらに、太平洋側北西部と北ロッキー山脈で例年よりもキレンジャクの数の多いことが注目されます。また、イスカベニヒワキビタイシメや少数のギンザンマシコなどの冬のフィンチ類が米国東部で観察されましたが、現時点での大きな変化は見られません。北半分の地域でシロフクロウ観察が数例報告されたくらいでしょう。

バード・スタディズ・カナダの国内プログラム部長のJon McCrackenはカナダと米国の参加者にシロフクロウに注目するように呼び掛けています。「GBBCはここ数年間に起きたシロフクロウの南方への大移動の追跡に成功しました。2017年の冬にどうなるかは予測できませんが、それはシロフクロウの個体数が北極圏におけるレミング(ネズミの1種)の予測不能な個体数のサイクルに深く関係しているからです。このサイクルは2年及び6年の間隔で起きます。しかしながら、今季はシロフクロウが最南でヴァージニアにまで姿を見せたという報告が既にあります。」と彼は言っています。

鳥の数のカウントに加え、GBBCのフォト・コンテストも2006年の開始以来人気があります。これまでに、数万枚もの魅力的な写真が提出されています。GBBC20周年を記念して、GBBCのホームページに掲載されている過去11年の写真の中からお気に入りの一枚に投票することができます。投票はGBBC開催期間の4日間を通して行われました。

2016年のGBBCフォトコンテストの入賞作品はこちら

報告者:オーデュボン協会、バード・スタディズ・カナダ、コーネル研究所

原文はこちら

 

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