かけがえのないもの:アルゼンチンのマル・チキータ湖
アルゼンチンのマル・チキータ湖は長さ70km、幅24kmの南米最大で世界でも5番目に大きな塩水湖です。この極めて重要な湿地には非常に多くの渡り性および留鳥性の水鳥が生息し、その中には50万羽ものアメリカヒレアシシギ、数万羽のコキアシシギ、コシジロウズラシギ、アメリカムナグロなどが含まれます。
この湿地にはアルゼンチンヒメクイナ、カンムリノスリ(共に留鳥)や3種のフラミンゴ(チリーフラミンゴ、コバシフラミンゴ=共に順絶滅危惧種、アンデスフラミンゴ=絶滅危惧Ⅱ類)などの世界的な絶滅危惧種も生息しています。
マル・チキータ湖で鳥があふれるほど見られるのは不思議なことではありません。この広大な湖は、およそ1.2百万ヘクタールもあります。バードライフによりIBA(重要生息環境)に指定されているほか、ラムサール条約湿地、西半球シギ・チドリ類保護区、および多目的保護区に指定されています。けれども残念ながらこれらの指定はこの重要な湿地の保全を担保できておらず、2013年以来「IBAs in Danger(危機にあるIBA)」に指定されています。この湖への主な脅威には農業、森林伐採、無規制の観光などがあります。ドゥルセ川とその支流からの水の汲み上げなど、無規制の潅漑などによりこの潟湖が大幅に減少、あるいは完全に干上がる可能性があります。地元の産業や町からの水の汚染も重大な問題です。
アヴェス・アルヘンティナス(アルゼンチンのパートナー)はこのIBAの管理を改善するため、鳥の調査や、環境啓蒙活動、地元の利害関係者との協働など、何年もマル・チキータ湖で活動を行ってきました。彼らは先ごろこのサイトの詳細なマッピングを完了しました。入れられた情報の中には、湿地周辺の土地所有権の登記状況も含まれています。この地図は、この地域をアルゼンチンの新しい国立公園に指定する大胆な計画を遂行するのに不可欠な情報となります。国立公園になれば水の管理問題が解決され、観光業が発達することで地元の雇用機会が生まれ、マル・チキータ湖の国内外でのプロモーションにつながるでしょう。アヴェス・アルヘンティナスは地元、地域および国と他の利害関係者と共同で、この夢を近い将来実現するために活動を行っています。
報告者: Zoltan Waliczky