新しい年、新しい鳥: 新たに認定された鳥10種
「Illustrated Checklist of the Birds of the World」の第2巻が12月30日に発売されました。HBWとバードライフの協力のもと、Lynx Edicions社から出版されるこの本は世界のスズメ目の鳥を収録したもので、この2巻で現生の10,965種の世界の鳥が全て、カラー図付きで掲載されたチェックリストが完成したことになります。
このバーダーのため、バードライフの科学チームは世界の鳥全てについて厳格な分類上の見直しを行い、これまで鳥類の多様性に関して10%ほど低く見ていたことを見出しました。以前は他の鳥の品種あるいは亜種と考えていた多くの鳥が実際には独立した種だったのです。
このような研究の結果、「図版入りチェックリスト」の編集作業で、実に1,000種以上の鳥が新たに種として認められました。ここではその中から最も特徴的な10種をご紹介します。
- Gran Canaria Blue Chaffinch Fringilla polatzeki
欧州で最も希少な留鳥。これまで、より大型の普通種であるカナリーアオアトリと同種と考えられていたこの鳥は、レッドリストで絶滅危惧ⅠB類としてデビューすることとなりました。グランカナリー島の山火事によってこの稀なフィンチが好むカナリー松の環境が破壊されたことが原因です。将来さらに火事が起きればその結果は深刻なものになるでしょう。
- South Island Kokako Callaeas cinereus
「灰色の幽霊」は今でもニュージーランドの南島に出没しているのでしょうか?オレンジ色(ブルーではなく)の肉垂れが北島の近縁種と異なっているこの樹上性の鳥は、2007年以来信頼できる目撃情報がなく、それがレッドリストで絶滅危惧ⅠA類とされている理由です(恐らく絶滅)。けれども、2007年より前の最後の観察が1967年だったことを考えると、「幽霊」を信じるのを止めるのはまだ少し早いかも知れません。
- Asir Magpie Pica asirensis
見慣れた鳥に見えますか?そのはずです。このサウジアラビアの固有種は2016年までは有名なカササギと同種と考えられていたのです。けれどもアイルランドからベトナムまで広範囲に分布する近縁のカササギとは異なり、この種は僅か135ペアがサウジアラビアの南西部の渓谷にあるビャクシンの森に生息しているのみなのです。カササギとの違いを識別するのは困難ですが(背中の羽衣が少しだけより黒いという違いはありますが)、鳴き声は全く異なっていて大きな声で‘クァインク、クァインク’と鳴きます。
- Bahama Nuthatch Sitta insularis
チャガシラヒメゴジュウカラは米国の南部および東部で普通種ですが、それよりはるかに希少な品種とされていた本種は今回別種とされました。その生息域は遥かに狭くグランド・バハマ島のみです。嘴が長く、薄いことと過眼線の色が濃いことからチャガシラヒメゴジュウカラと識別できます。
- Comoro Blue Vanga Cyanolanius comorensis
これまではルリイロマダガスカルモズの亜種とされていたこの目立つ鳥は、現在もコモロ諸島にはまだかなりの数が居ますが、生息地の喪失と劣化によって減少が続いています。
- Marsh Antwren Formicivora paludicola
サンパウロ市の近郊に生息していたにもかかわらず、本種が発見されたのは2004年のことでした。その生息面積は恐らく2㎢よりも小さく、発見されてから今日までの間に既に2ヶ所の生息地が失われました。本種の一部はダム建設によって生息場所を移さざるを得ませんでした。
- Antioquia Wren Thryophilus sernai
コロンビアの北西部に生息する新種で、同時にレッドリストの絶滅危惧種クラブの仲間入りです。カウカ川の築堤ダム、イトゥアンゴ・ダムの建設が本種の乾燥森林環境の半分以上を壊滅させた可能性があります。
- Nias Hill Myna Gracula robusta
現存するムクドリ科の鳥の中で恐らく最大のこのガッシリとした種は、言葉を話すことが出来るために珍重されていますが、それが激減の原因でしした。生息地はインドネシアのバニャック諸島とニアス島に限られており、野生の個体群は島にやって来た罠猟師によりほぼ完全に一掃されたと思われます。新たに独立した種となったこの種は2015年にチェコの動物学者が新しい個体群を発見するまでは、野生絶滅と考えられていました。
- Lendu Crombec Sylvietta chapini
地図上でアフリカの熱帯雨林で最も野生的で自然のままの残されている場所に指をさしたら、この見つけにくいムシクイ類の最後の生息地でもあるでしょう。本種はコンゴ共和国の超遠隔地であるレンドゥ高原の山地性植生で捕獲された僅か3個体の標本があるだけです。まだ生息地の一部は残っており、本種は生存しているかも知れませんが、内戦によりこれを確認することが出来ません。それまでの間は、本種は公式には絶滅危惧ⅠA類に分類されます。
- Vampire Ground-finch Geospiza septentrionalis
もしあなたがこのリストを夜中に読んでいたら、おそらく明かりを消したくなくなるでしょう。ガラパゴス諸島のウォルフ島とダーウィン島にのみ生息する、この吸血性のガラパゴスフィンチは、その残忍な食性により、これまでハシボソガラパゴスフィンチの特殊な亜種と考えられて来ました。この種に相応しい名前の通り、本種は時にカツオドリなど他の鳥の皮膚を破れるまで突つき、その血を飲むのです。この性質は、生息地である荒涼とした島の乏しい餌資源を補うために進化したものと考えられています。
報告者: Alex Dale