10年に及ぶキャンペーンの後、EUが漁業での海鳥殺戮を止める計画を発表

釣り針に掛かったミズナギドリ
写真提供:(c) Vero Cortés

12年にも及ぶバードライフ・ヨーロッパのキャンペーンの後、11月16日(金)、EU(欧州連合)は海鳥の混獲(漁具に掛かったことによる海鳥の偶発的な死)を減らすためのEU活動計画をやっとのことで始めました。

バードライフ・ヨーロッパはEUが初めて活動計画を確約した2001年以来、これを支持してきました。それ以来、バードライフはEUの海域で2百万羽以上の海鳥が漁具により殺されたと推定しています。これにはEU船籍の漁船が南洋で操業していることの影響はカウントされていません。南洋での混獲は主に22種のうちの17種のアホウドリ類の絶滅の危機に関係しています。

‘EU海鳥活動計画’はEU内外の海域での海鳥の混獲を最小限にする、可能な場所では、ゼロにすることを目標にしています。計画はこれを一連の活動により達成することを目指しています。特に漁船団が海鳥が漁具に近づかないようにする方法を採用することを呼びかけています。その他の重点分野は研究開発と漁民の意識向上と訓練です。しかしながら、この計画は基本的に任意のもので、改正共通漁業政策の下では法律にしばられた方法が取られるべきです。特に漁船団には混獲軽減対策の採用と海鳥混獲のデータ収集が求められるべきです。

とは言え、‘海鳥活動計画’が最終的に日の目を見たことは重要な第一歩です。EUの海域では大部分の海鳥の混獲は刺し網漁と延縄漁によるもので、その他に底引き網漁と旋網(まきあみ)による混獲もある程度の影響が見られます。少なくとも毎年10万羽の海鳥がバルチック海と北海東部での刺し網漁の犠牲になっています。アイルランド南西沖でのスペイン船によるメルルーサ(魚の一種)の延縄漁では毎年数万羽の海鳥を殺していると推定され、その多くはズグロミズナギドリです。このような虐殺が世界的な絶滅危惧種であるヨーロッパミズナギドリ、シロハラアカアシミズナギドリ、コケワタガモ、ビロードキンクロ、コオリガモなどを含む欧州の海鳥を守ることが目的のEU野鳥指令を無視して行われており、海鳥は漁具に掛かって水中に引きずり込まれ溺れ死ぬのです。最も絶滅が危惧される海鳥のために、バードライフ・ヨーロッパはこの計画が、漁具に引き寄せられることに取り組む緊急対策を引き出すものと考えています。

海鳥は海の健康状態の指標として最も目に付きやすく象徴的なもので、経験から責任感のある漁師は方策さえあれば鳥ではなく魚を捕らえるだろうということが分かっています。EUの‘海鳥活動計画’は加盟国と漁業界にこれを実現する絶好の機会を提供し、私たちも彼らがその機会を捉えてくれることを願っています。バードライフ・ヨーロッパはEUが海鳥の不要な死の停止を命じることを賞賛し、この計画を実行に移すために漁業界と共に活動する用意があります。

 

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