ヒメシワコブサイチョウの保護がインド政府のレーダーに
ヒメシワコブサイチョウは、サンゴ礁に囲まれ、厚い森で敷き詰められたアンダマン海の火山島に生息しています。実際に、ナーコンダム島の広さ12平方キロメートルの熱帯常緑森林だけがこの鳥の生息地で、世界でもっとも小さな生息地を持つ鳥の一種となっています。50~249羽の成鳥が個体数のこの小型で特徴的で暗色のサイチョウは絶滅危惧ⅠA類とされています。アンダマン海とニコバー島グループ内に位置するこの島は、1977年以来野生生物サンクチュアリと認識され、IBA(重要生息環境)の一つです。保護活動と限られた脅威により現在のところヒメシワコブサイチョウの個体群は安定していますが、個体群の大きさと生息地の狭さにより、新しい脅威や自然災害に対して極めて影響を受けやすい状態です。
ヒメシワコブサイチョウが守られた
それゆえ、インド海岸警備隊からのレーダー監視ステーションの建設提案が環境・森林大臣(インド政府)により拒絶されたことは大きなニュースです。計画では巨大なレーダー・サイト、ディーゼル発電装置、2キロに及ぶアクセス道路を建設するために原生林を伐採することが含まれていました。ボンベイ自然史協会(インドのパートナー)の会長アサド・ラーマニ博士がこの開発の影響を評価するためにインド政府から招かれました。彼の強い拒否と社会運動がヒメシワコブサイチョウの保護の成功を導きました。
1969年に建てられた小さな警察の出先機関とそれによる森林喪失、薪炭採取、狩猟、ヤギの持ち込み(それにより自然森林の再生が阻害される)などが既に個体群に大きな影響を与えていました。かなりの規模での樹木伐採や、更なる人の存在と開拓を伴う大規模なプロジェクトが行われれば、ヒメシワコブサイチョウに対する大きな災害となり恐らくは絶滅を招くところでした。
献身的な母鳥
サイチョウは営巣とねぐら用に大木のある成熟した原生林を利用します。産卵と育雛の期間中、メスは雛のケアに全力を捧げるので、飛行用の羽根も育雛のために使い飛べなくなってしまいます。これは現在の環境劣化に加えてレーダー・システムの建設と運用に結びついた撹乱があればヒメシワコブサイチョウに対する元に戻すことの出来ない悪影響の原因になったことでしょう。
環境省はインド沿岸警備隊にはテクノロジーの選択か別の海岸から離れた場所などの他のオプションがあることを強調しました。ヒメシワコブサイチョウには生き残るための別のオプションなどないので、提案の却下は大成功なのです。
提案された今後の保護活動には、既存の狩猟禁止の強化や、島からすべてのヤギを追い出すことによって森林の再生を促進することと、警察の出先機関の住人に料理用の燃料を提供することによりこの隔絶した環境を保護することなどが含まれています。
報告者:Shaun Hurrell