気候変動は人の活動が原因であることの確実性が高まったとするIPCCの発表を受けて、バードライフが意欲的な対応を要求

健全で生物多様性が豊かな生態系はこれを維持し、
気候変動への回復力を高める上で重要な役割を持っています。
写真提供:P Volpini

今日発表された第5回評価報告(AR5)で、‘気候変動に関する政府間パネル(IPCC)’がこれまで以上に自信を持って気候変動が実際に起きていること、および、気候への人の活動の影響が明らかであると述べています。観察例の精度の向上、気候システムの反応への理解改善、気候モデルの改良などのお蔭で、気候変動の証拠がより強力になっているのです。

IPCCは国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により気候変動の現状に関する知識と、環境および社会経済へのその影響についての明確な科学的見方を世界に提供するために設立されました。AR5の最初の部分は‘気候変動2013: 物理科学基準’として発表されています。

IPCCは地球の気候システムの温暖化は明らかだと再び強調しています。過去30年の間の各10年間に地表は1850年以後の各10年に比較して連続的に暖かくなって来ています。北半球では1983年~2012年の間の30年間は恐らく過去1400年のどの30年間よりも温暖でした。その結果、大気と海洋は温暖になり、氷で覆われていた陸と海の地域が縮小し、海水位が上昇しました。

気候変動はバードライフの主要なアプローチである種、IBA(重要生息環境)および生息地の保護・保全にも新しい課題を提起します。生物多様性と気候は密接に関係しており、これまでに観察された気候の変化は既に種や生態系レベルで生物多様性に悪影響を及ぼしています。動植物の生息域が極の方向に、或はより高い方向へ移動しており、このような移動の地理的限界に生息する種の絶滅の脅威が増しています。複数の研究により、多くの種が適切な気候の場所に移動をするような対応が出来ないだろうと示唆されています。異常気象の増加が沿岸や島嶼のコミュニティと生物多様性に既に損害を与えており、ハリケーンの回数と強さの増加により数種の鳥が絶滅の危機に直面しています。

IPCCは地表の温度変化は21世紀末には1850年~1900年と比較して摂氏15度以上上がる可能性があると予測しています。猛暑がこれまで以上に度々発生し、長期化します。湿潤な地域はより湿潤に、乾燥した地域は一層雨が少なくなります。海洋の温暖化に伴う氷河と氷床の減少により、全地球平均の海水位はこれまでにない速さで上昇を続けるでしょう。

これら全ての変化への人の影響は検知可能です。CO2濃度は産業革命以来40%増加しており、一義的には化石燃料からの排出、二次的には土地利用の変化に伴う純排出増によるものです。海洋は大気中に排出されたCO2の30%を吸収しますが、それが海洋の酸性化の原因になります。

IPCCは温室効果ガスの排出継続は気候システムの全ての構成要素に対する更なる温暖化と変化の原因になるだろうと警告します。気候変動を抑えるには温室効果ガスの排出を大幅に減らし、これを続けることが必要になるでしょう。

「温室効果ガスの排出を減らすために、私たちの科学知識に基づいて必要と考える行動のレベルと、各国の政府が野心的だと考えている現在のレベルの間には大きなミスマッチがあります。」とバードライフの政策ヘッドのメラニー・ヒースは言いました。

しかしながら、私たちの過去、現在、そして今後に予想されるCO2排出の結果、たとえ今からCO2排出を止めても、気候変動が進むことが確実で、その影響は何世紀にも亘って続くでしょう。

「この避けがたい気候の変化を前にして、健全で生物多様性が豊かな生態系はこれを維持し、気候変動への回復力を高め、また、人のコミュニティの脆弱性を減らす上で重要な役割を持っています。これこそが何故バードライフが国家、地方、国際的な気候変動と開発政策の中に健全な生態系の重要性を効果的に書き加えることを要求している利用なのです。」とメラニー・ヒースは付言しました。

報告者:Melanie Heath

 

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