第11回ラムサール締約国会議が終了しました

●シンバ・チャン(バードライフ・インターナショナル・アジア・ディビジョン 東京事務所)のコメント ラムサール条約締結国会議COP11ではバードライフとパートナーからアジアの干潟の保全に関する件が強調されました。BANCA(ミャンマーのバードライフ・パートナー)のHtin Hlaは7月12日に行われたサイド・イベントでマルタバン湾およびその他のミャンマーの湿地についてのプレゼンテーションを行いました。 同じサイド・イベントで、タイ政府も今後ともミャンマーとの干潟保全についての協力関係を続けてゆくことを誓約しました。BCST(タイのバードライフ・パートナー)とBANCAは今後情報と経験の交換という分野で重要な役割を果たすでしょう。 7月7日には日本からラムサール・サイトの指定に関するサイド・イベントがありました。新規に定められたラムサール・サイトがある場所の4人の市長と1人の町長が会議に出席し、新しいサイトについて紹介しました。彼らのラムサール・サイトの運営経験は(例えばコウノトリが放鳥された豊岡市のラムサール・サイト)他のアジアの国々へも良い影響を及ぼすでしょう(中国野鳥学会の人から幾つかの台湾のNGOが最近豊岡市のサイトを訪問したと聞きました)。

●バードライフ・インターナショナルのニュースより

ラムサール会議COP-11好調に終了―ただし主要な湿地には依然として脅威が

2012年7月16日(月)

パナマ湾
開発業者はマングローブ林を埋め立て、マリーナ、ゴルフ場、住宅地などを建設するための浚渫の準備完了
写真提供: Panama Audubon Society

ブカレストの国会宮殿の大理石のホールにエコーが響く中で、7月13日(金)にラムサール条約締結国会議COP-11が前向きの雰囲気の中で閉会しました。

予想通り、事務局を主催する制度的な問題が会議に大きく影を落とし、その他の議題のための時間を食いつぶしてしまいました。加盟国は結果的に対立を生む恐れのある投票を避け、主催者としてIUCN(国際自然保護連合)への信認を更新することに同意しました。また、今から次回の会議(COP12)までの間に、会議の共通言語やハイレベルの政治的セグメントの必要性などの重要課題に取り組みました。

先日のリオ+20サミットの余韻が残る中で、COP-11はエネルギー、健康、農業、貧困の撲滅、ツーリズム、湿地喪失の防止とその埋め合わせ、気候変動、公共および民間投資などに関連する一連の重要決議を承認することにより、ラムサール条約が持続可能な開発と関連があることを示しました。

バードライフからはベラルーシ、日本、ミャンマー、スペイン、英国のパートナーと、本部およびルーマニア鳥学会(SOR: ルーマニアのバードライフ・パートナー)が参加し、SORは会議の期間中バードライフの展示ブースに詰めていました。

ウエットランド・インターナショナルおよび東アジア・オーストラリア・フライウェイ・パートナーシップと共に、バードライフは東アジア・オーストラリア・フライウェイに沿った、特に渡り性水鳥の重要な中継地である干潟の急激な喪失に焦点を当てたサイド・イベントを成功させました。このことは幾つかのアジアの国々との間で干潟の破壊を食い止めるために今後協力して行こうという建設的な話し合いを持つことにつながりました。このサイド・イベントでミャンマー政府はマルタバン湾の湿地をラムサール・サイトに定めると発表し、またタイ政府はタイ内湾の管理経験を今後も交換することを約束しました。これら二つのサイトは絶滅危惧ⅠA類のヘラシギの重要な越冬地なのです。これらの討議をフォローするために、バードライフは今後中国、北朝鮮およびミャンマーでの干潟の保全に関するワークショップを開催したいと考えています。

他のラムサール条約にかかわる国際組織パートナー(IOP)たちと共に、バードライフは新しいラムサール・サイト情報シートを採用するというCOPの決定を歓迎しました。これはラムサール湿地のデータと管理状況を最新版に取り入れるという大きなステップです。COPはまた審査機関を設置するとともに、科学・技術に関する助言やガイダンスを採択しとじ実施することに合意しました。ラムサールの科学・技術の質の高さは知られていますが、その研究成果を実行に移すことや、現場における活動は十分ではありません。これこそバードライフ・パートナーが政府を助けるために出来ることの多い分野です。

否定的な面では、参加国は現在のラムサール事務局の予算を2013年には増加させずに凍結する決定を行いましたが、これはすでに一杯一杯になっている事務局チームに一層の圧力となるでしょう。

会議を締めくくる声明の中で、国際組織パートナー(IOP)はパナマ湾のように今回の会議が開始される時点で脅威を受けていた湿地は、会議が終了する時点においても変わらずに危機に瀕しているということを強調しました。新しい決議を多数含む今回の会議を、国レベルで確実に効果的に実行されるようにするのは参加国次第なのです。

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