トンガでマングースが野放し状態に

Mongoose control

捕食哺乳動物がいない中で進化してきた島嶼の固有の動植物にとって、外来種は常につきまとう危険です。オセアニアではネズミなどの外来種が突然やって来たことによって、数多くの固有動植物が急減または絶滅しました。

この悪夢のような状況が、先月フィジーからトンガにやって来た船のコンテナから、運ばれてきた金属製品に紛れ込んでいた6匹の小さなインドマングースが脱走したことで、再び起きる可能性が高くなったのです。このことは、地元住民が超大型のネズミだと思っていたものが実際はマングースだったことが発覚するまで、調査されていませんでした。トンガの検疫所がすぐに呼ばれなかったことは今後の改善する必要がある課題です。その後、6匹の「密航者」がいることが判明しました。2匹は死に、1匹は輸入会社のスタッフに処分され、あと1匹は間一髪のところで罠に掛かりました。けれども残る2匹は逃げ出し、これまでのところ逃亡中です。

トンガの検疫所と環境局はSPREP(トンガのバードライフ・パートナー)、アイランド・コンサベーション、太平洋外来種イニシアティブなどと協力して、今回の侵入に対する緊急対策を取っています。バードライフの‘太平洋地域外来種プログラム’のマネジャーのSteve Cranwellはトンガの環境局や検疫所に加わってマングースが逃げた場所に罠を張り巡らせています。住民の裏庭やマングースが活動する可能性の高い場所などに罠が設置されて3週間が経っています。一般からの目撃情報を求めるキャンペーンも行われています。

最新の目撃は7月25日(月)で、逃げた場所の近くの排水溝の中でした。彼らは明らかにこの排水溝網を利用して付近を動き回っており、罠による捕獲は困難な状況です。けれども良いニュースとしては彼らが罠が集中している場所付近に留まっている様子で、罠の仕掛け場所や強度のちょっとした改善と運があれば捕獲できる可能性があります。

マングースは1883年にフィジーに意図的に移入されました。サトウキビ栽培業者がジャマイカからインドマングースをハワイの4つの島とフィジーのビティレブ島に輸入し、その後彼らはそこに定着しました。

「理論的には、マングースはサトウキビ農園にとって問題だったネズミの抑制に役に立つということでした。けれども、このような別の動物の抑制のために捕食動物を導入した多くの例と同様、上手く行きませんでした。マングースは日中にのみ活動する動物であるのに対して、ネズミは主に夜間に活動するので実際には2種が出会うことがないのです。」とCranwell は言いました。

Cranwellは、「フィジーではマングースが少なくとも1種の地上性の固有鳥類の絶滅とその他数種の激減に関係していると言いました。1875年当時フィジークイナは普通種でしたが、マングースの移入(1883年)以後数年で全く見られなくなりました。マングースは他の野生生物にとっても問題となり、フィジーの固有の地上性のカエルの減少に関係しており、また野生のニワトリ類にも問題です。「トンガを含む太平洋の島々では野生のヤケイは普通種ですがマングースのいる島では稀です。もしマングースがトンガタプ島に定着してしまうとニワトリ類の分布域を維持するのは困難になるでしょう。」と言いました。マングースはレピトスピラ病や狂犬病などの病気を運び広めるので人の健康にとっても危険です。

トンガで起こっていることは、太平洋の島々における外来種の危機、そして太平洋ならではの自然や暮らしの保護における外来種阻止の重要性をこれまで以上に私たちに訴えかけています。

 

報告者: Steve Carnwell

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