欧州委員会はズアオホオジロを救うことができるか?
過去30年の間に、フランスのズアオホオジロの個体数は50-75%も減少しました。この現象は1979年以後、本種を捕ることは法律で禁止されており、1999年には保護対象種にも指定されています。けれども、8月と9月の秋の渡りの時期にフランス南西部に仕掛けられた違法な罠によって、毎年約3万羽のズアオホオジロが命を落としています。
ランド県はフランスで毎年繁殖する鳥だけでなく、スカンジナビア、ポーランド、バルカン諸国からフランスに渡って来る鳥にとっても危険な場所です。ここでは鳥を違法に罠にかけるための籠わななど、昔からの狩猟方法が用いられています。野鳥はご馳走と考えられているのです(多くの著名な政治家が野鳥を食べたことを認めており、前フランス大統領フランソワ・ミッテランまでもがその一人でした)。
違法であるにもかかわらず、これらの鳥は1羽150ユーロ程度でレストランに売られると考えられています。調理法や消費は儀式そのものです。脂肪の蓄えを増やすために強制的に餌を食べさせて、次にアルマニャック(フランスのブランディの1種)の中で溺れさせるのです。
人々がこれを文化であり伝統的な料理と考えているために、公共機関も見て見ぬふりをしてしまいます。さらに悪い事に、2014年に何人かのミシュラン・ガイドブックの星を持つシェフが国営テレビに登場し、ズアオホオジロ猟の伝統を支援するために、シーズンにつき少なくとも週末1回はわな猟が合法化されるよう求めたのです。
LPO(フランスのパートナー)はこの状況は受け入れられないと考えています。フランス政府が法律をしっかりと執行しないことに対して、LPOは10年前に、秋の渡りの期間の現場でこの実態を暴き、市民の認知度を高める活動を始めました。
現在、LPOはCABS(鳥の虐殺に反対する委員会)と共にこの違法罠猟を終わらせるための活動を行っています。罠猟の場所を空中から特定して捕らわれた鳥を放鳥し、審査が先延ばしにならず、事件が追及されるよう、地元の警察署やONCFS(狩猟・野生生物局)に告訴状を持ち込むのです。
2013年にLPOは欧州委員会に訴状を送りました。2015年3月、委員会はLPOに対してフランス政府が、この問題に対してLPOと共同で作業をしており、LPOからの質問に十分な回答を示したと結論づけました。もしNGOがさらなる証拠を示さないかぎり、委員会は訴えを終わらせるでしょう。そこで、LPOは直ちに前年行われた密猟の情報などの関係資料をEU本部に送りました。
LPOは欧州委員会に対し、フランス政府は密猟を止めさせるために何も行っておらず、密猟に関わったとして、今まで有罪になったハンターがほとんどいないという証拠資料を送り続けています。今年の6月16日には希望が見えてきました。委員会がフランス政府に対して‘妥当な意見’を送付しました。同政府はこの密猟を止めるための行動を取って委員会を納得させる期間として2ヶ月の猶予を与え、もしこれが出来なければ委員会はフランスを欧州裁判所に訴えるということです。