フランス領ポリネシアのインコを守る「ウィスキー」
外来種、特にネズミは太平洋地域の鳥に対する最大の脅威です。ネズミは過去2世紀のうちに、人類、特にヨーロッパ人の移動にともなって太平洋の各地に拡散しました。船から飛び降りて島に上陸したこれらの外来種は、多くの鳥の減少の原因となりました。
現在、太平洋地域にいる絶滅危惧ⅠA類に分類されている鳥は42種に上りますが、これは世界全体の4分の1に当たります。
バードライフとその太平洋地域のパ-トナーは既に40の島から外来種を駆除しました。これらの島で数が減っていた種の回復は目覚ましいものでした。外来種の駆除は種の存続をより確かなものにできる二つの方法のうちの一つです。二つ目は、外来種の侵入を防ぐことで、最も費用対効果が高い方法でもあります。
どちらの方法でも、バイオセキュリティーが重要です。バイオセキュリティーは外来種がまだ来ていない場所でも、既に駆除が終わった場所でも経済的に理に叶っています。このことは当たり前のように思われますが、毎日の生活に船が必要な場所では、チャンスを狙っているネズミは常に「乗船」を試みます。それは(島での新生活を夢見る)ロマンチックなネズミのカップル一組、あるいは妊娠しているメスが一個体でもいれば、新しい外来種の侵略が始まるのです。
ですからこれを防止するのは容易なことではありません。それでも島のコミュニティ、特に本土から海を越えて数百キロもある場所では、地元住民が重要な防衛者です。彼らは得られる限りのあらゆるツールを必要としています。
Bernhard王子自然基金、SOP Manu(仏領ポリネシアのバードライフ・パートナー)およびUa Huka島とRimatara島の地元の団体からの潤沢な助成金がこれらの貴重な場所を守るためのバイオセキュリティー対策に投入されています。彼らの活動を助けるためにニュージーランドで生まれ、訓練を受けた2頭のジャックラッセル・テリアの‘ドラ’と‘ウィスキー’がネズミや他の密入国侵入者を見つけるために輸入されました。
彼らは効果があるのでしょうか?‘ウィスキー’が(外来種が居ないはずの)Rimatara島でパトロールを始めた8カ月間で、3匹のネズミが発見され、その中のもっとも最近発見された1頭は既に死んでいました。このことは再侵入のリスクが高まっていることを示すものです。これは事実であって、保護活動家はオオカミ少年ではないのです!
‘ウィスキー’は侵入者を見落としたのでしょうか?私たちの‘スーパー・ヒーロー’が実際にどれ程優れているかをテストするために、SOP ManuのCaroline BlanvillainはRimatara島に行き、ネズミの皮を籠の中に隠し、パトロールが効果的かどうかを確かめました。
結果として、ネズミの皮一枚に加えて、別の死んだネズミが発見されました。このことは、バイオセキュリティーの重要性と、地元コミュニティがこの不可欠な対策を続けるのに十分なリソースを手配する必要性を示しています。そのコストは、侵入してしまったネズミを駆除するのに必要な数万〜数百万ドルと比較すれば微々たるものです。
Rimatara と Ua Hakaの両島は世界で3種の最も美しく稀なインコ類、絶滅危惧ⅠB類のコンセイインコとムスメインコ、および絶滅危惧Ⅱ類のノドジロルリインコに残された最後の場所です。これらの孤島にこれら3種が生存できているのはまだネズミが来ていないためです。Rimatara島はタヒチヒタキの個体群の2つ目の生息地となる可能性もあります。
これらの島は貴重な場所です。私たちはBernhard王子自然基金と島の安全を守っている献身的な地元コミュニティおよびサイト支援グループに深く感謝する次第です。
報告者: Caroline Blanvillan
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