バードライフのパートナー団体が野生生物の違法な毒殺を阻止する戦いに参加
あなたが欧州のどこかの農地か田舎で餌を探しているワシかハゲワシだった場合を想像してください。真下にネズミの死骸のようなものを見つけたら、簡単に手に入る餌だと思って急降下するでしょう。
ところがすぐにだるさを感じ始めます。もう狩りをしたり、長距離を飛んだりする力がなくなってしまいます。あなたどんどん衰弱していき、文字通り死んで空から墜落するのです。死因は違法な毒入りの餌です。
毒入り餌(殺虫剤、殺鼠剤、殺菌剤、除草剤などが混入された餌)は家畜や狩猟対象種にとって脅威になると考えられている捕食動物を殺すため、またはある種の動物から作物を守るためにEUの田園地方で(及び世界中の多くの国で)使われています。これはEUの最も進んだ自然法制である野鳥および生息地指令や欧州の野生生物と自然環境の保全のためのベルン条約により禁止されているにもかかわらず起きているのです。
毒物の違法な使用はイベリアカタシロワシ、カタシロワシ、アカトビ、エジプトハゲワシなどの欧州の種にとっての直接的な脅威です。極めて多数の鳥が毎年毒入り餌の悪用や違法な使用によって殺されています。これらの餌は他の野生生物も危険に晒します。毒入り餌をそのターゲットではない動物や猛禽類も食べてしまうことがあるからです。
この行為を根絶するためにSEO/BirdLife(スペインのパートナー)とRSPB(英国のパートナー)が‘環境犯罪に対する欧州ネットワーク(ENEC)’を立ち上げました。EUの‘刑事司法支援プログラム’の支援を得て、ENECは欧州の検察官(ENPE)、裁判官(EUFJE)、警察(EnviCrimeNet)およびハンター(FACE)の協会を集結させるのです。ENECは刑法により環境保全に関する指令 2008/99/ECの実施の改善を目指します。
今月の初めにENECは野生生物への違法な毒物使用を止めさせるため、欧州行動計画に関する提案を採択しました。その文書ではEU全土で統一された方法によって違法な薬物事件を防ぎ、モニターし、最終的には控訴するための連携戦略が提案されています。
「アカトビやエジプトハゲワシなど多くの渡り鳥が毒入り餌の使用による脅威に晒されています。問題は違法毒物に対する取り組みがフライウェイ全体で同一ではないということです。」とSEO/BirdLifeの保護ユニットのヘッドJuan Carlos Atienzaはコメントしました。「一つのEU加盟国だけが毒入り餌の使用に対する行動を起こしても、近隣の国々の活動が同じでなければ意味がありません。結局こうした国で毒死してしまうからです。」
EUの20か国の代表、バードライフ・パートナー、裁判官、検察官、ハンター及び取締官の支援を得て作られた行動計画には、EU全体で共同して調和のとれた活動を促進するための‘鳥の違法殺傷のロードマップ’などが書かれており、すでに欧州委員会に提出されています。
同文書は毒入り餌の使用と影響に関する入手可能なデータを改善し、この問題への認識を高めるための方策を提案しています。その中には、野生生物毒殺の抑止と阻止、監視を進め、EUおよび加盟国の法律による毒物の違法使用の起訴の効率を向上させる活動、毒入り餌の製造に用いられることが想定される毒性物質の販売を抑制することなどが含まれています。
「これは欧州の自然の遺産、特に国境を知らない渡り鳥などをを守るために必要なことです。」とSEO/BirdLifeのENECのプロジェクト・コーディネーターで環境法律家のDavid de la Bodegaは言っています。
報告者: Sanya Khetani-Shah
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