自然にとって世界で最も重要な地域からスコットランドと同じ面積が失われた
RSPB(英国のバードライフ・パートナー)、バードライフおよびイタリアの自然保護科学者のチームが世界7,000ヶ所の自然にとって重要な地域で2000年から2012年の間の森林減少量を人工衛星データで測定しました。
2000年にはこれらのIBA(重要生息環境)の2.9百万平方キロメートルが森林で覆われていましたが、2012年にはそのうちのおよそ73,000平方キロメートル(スコットランドと同じ面積)が減少していました。これは全IBAの2.5%の喪失に相当します。
森林減少が最もひどかったのは、ブラジル、パラグアイ、インドネシア、マレーシア、マダガスカル、ガーナで、南アフリカと東南アジアでもかなり減少しました。
「またも最大の影響を受けたのは生物多様性の高い熱帯地域です。」とRSPBの自然保護科学センターの上級保護科学者で今回の研究の共同著者のGraeme Buchanan博士はコメントしています。
今回の研究では科学者は衛星画像を利用して世界の全てのIBAの森林の喪失状態を測定しました。彼らは2000年から2012年の間に森林の鳥を支える世界7,279のIBAで失われた森林の面積を定量評価しました。
減少具合は一定ではなく、ほとんどのIBAでは失われた森林被覆は1%以下でした。しかし、いくつかの森林では事態は深刻で、サルタ森林(アルゼンチン)では72%、Rawa Lunang(インドネシア)でが69%、テッソニロ(インドネシア)では65%も減少しました。
論文の執筆者たちは幾つかの重大なパターンを発見しました。IBA内の森林喪失が最も急速に進んでいるのは南アフリカと東南アジアで、特に2003年から2007年にかけて進行していました。しかし一方で、公式な保全(国立公園や野生生物保護区の指定などによる)がなされているIBAでは森林の減少速度が低く抑えられていることも分かりました。
「今では地球上の全てのIBAにおける森林被覆の変化をモニターすることが出来ます。IBAは、生物多様性の持続のために重要な場所の大半をカバーしているので、その保全は本当に大切なのです。」とGraeme Buchanan博士は言いました。
「世界各国の政府は2020年までに、特にIBAやKBA(生物多様性の鍵になる地域)など生物多様性にとって特別に重要な地域を中心に、少なくとも陸地の17%を保全することを約束しています。一般市民は世界中どこに居てもコンピュータを通じて、政府がこの約束をより早く、管理可能にするように、この目標への進展度をモニターすることが出来るのです。
もう一人の共著者でバードライフの科学部門長のStuart Butchart博士は「今後はこれらのデータを毎年更新し世界中のバードライフ・パートナーがいつでも利用できるようにします。それにより、保護活動を急速な森林伐採に対して最も脆弱な森林性IBAに効果的に集中させることが出来るのです。」と付け足しました。
報告者: エイドリアン・ロング
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