キガオミツスイの卵が襲われた
絶滅危惧ⅠA類のキガオミツスイが予想外の動物の餌食になっています。ハイテクのビデオ・カメラによる監視によって、ある種の有袋類がキガオミツスイの卵の重大な捕食者となっている可能性があることが初めて明らかになりました。
2015年度のキガオミツスイの放鳥とモニタリング・プログラムは多くの団体による共同作業で、バードライフ・オーストラリアや環境局、ロンドン動物園協会など多くの団体から支援と資金提供を受けて進められています。
ビデオによるモニタリングはロンドン動物園協会の博士課程の学生であるGemma Taylorが行っています。
「私たちはキガオミツスイの繁殖行動についてより詳しく調べるために、巣の近くに遠隔ビデオ・カメラを設置しました。フクロモモンガが卵を食べ始めたのを見たときの残念さをお分かりいただけるでしょうか。」とTaylorは言いました。
「ビデオ映像には夜中に巣の中にいるメスのミツスイにモモンガが忍び寄り、卵を食べるところが写っています。最初にフクロモモンガが卵を食べる前に、抱卵しいていた親鳥に襲い掛かるところが写っていました。そのあと、別の巣では大型で絶滅危惧種でもあるオブトフクロモモンガがやって来てミツスイを捕えようとした後、卵を食べるところが写されていました。」
「キガオミツスイの卵の脅威となるのはオーストラリア原産の哺乳類だけではありません。イエスズメが卵を割り、カササギが雛を捕るところも写っていました。これまでは、これらの種がキガオミツスイへの脅威になっているとは考えられていませんでした。」
かつては普通種でしたが今は野外では極めて稀な種になったキガオミツスイの個体数を増やすためのプログラムの一環として、タロンガ動物園で捕獲繁殖されていた77羽が去年の4月にビクトリア州北東部のチルターン・パイロット山国立公園に放鳥されました。
「このプロジェクトはまだ始まったばかりですが、放鳥後の鳥が直面する障害を特定し、野生状態での様々なライフ・ステージにおける危険を明らかにしたいと考えています。」とTaylorは言いました。
バードライフ・オーストラリアのキガオミツスイ復活コーディネーターDean Ingwersenは「今まで、この鳥が生き残っていたことは素晴らしいことですが、最終的に彼らが野生状態で繁殖をすることが確認できて初めて成功といえます。ですから、たくさんのキガオミツスイのペアの巣を発見できたら非常に興奮するでしょう。」と言いました。
「営巣に失敗するところを目撃するのは辛いですが、同時に継続的に行っている放鳥活動を改善するのに重要な情報になります。」とIngwersenは言いました。
「これらの新たな脅威が明らかになったため、私たちは営巣中の鳥に近づくことを防ぐために巣の周りに「襟」や柵を設置するといった被害削減対策を検討することができます。これらの対策は既に他の絶滅危惧種で用いられているものなので、キガオミツスイでも試さない手はありません。」
「ビデオによる調査に加えて、献身的なボランティア、学生、スタッフが観察報告や鳥の追跡などモニタリング・プログラムに4,000時間以上を費やしてきました。」
報告者: Sean Dooley
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