まただますのか: フォルクスワーゲンのディーゼル・スキャンダルを受けてのEUへの行動要求

写真提供: © Pasi Haapakorva/Flickr

フォルクスワーゲンが排出ガス試験をごまかしていたことが分かったディーゼル・スキャンダルにより、このようなことがどうして起きたのか、また、将来どうすれば再発を防げるのかということについて多くの議論が行われました。

この状況は、欧州の自動車産業による巨大なロビー活動の力によって、おそらくかなり昔からできあがっていたのでしょう。1990年代の半ばに同産業は、拘束力の無い、自発的なCO2(二酸化炭素)排出計画を導入しました。しかしこの計画も失敗に終わりました。その10年後に拘束力のある上限が導入された時も、自動車メーカーのロビー活動により骨抜きにされました。フォルクスワーゲンは欧州委員会の5つの助言団体の一つとして、またACEA(欧州自動車メーカー組合)の産業ロビー団体として特権的な地位にありました。

産業界の利益ではなく、欧州の人々を守ることを目的に、39の市民団体がEU(欧州連合)に対して大気汚染と詐欺的な産業界の行動に対して対策をとることを求めています。

バードライフ、グリーンピースその他の団体からの公開書簡がEUの諸機関(欧州委員会、同理事会および同議会)の代表に送付され、今回の状況を招いた生ぬるい規則と環境法の手ぬるい執行に取り組むことを求めました。企業の共同規制や自主規制は、本当に人々の利益を守る効果的な規制よりも良くて安上がりな方法に見られています。大気汚染は解消していない大問題です。欧州では毎年大気汚染が原因で40万人以上が若くして亡くなっているのです。

公開書簡にはこの問題についてEUがどのように積極的に活動できるか、4つの重要提言として示されています。

1.今回のディーゼル・スキャンダルに対して迅速で、独立した透明性のあるEUレベルでの調査を行うこと。

  このスキャンダルが起きてしまうことを防げなかった規則や規制の徹底的なレビューを行うことを含む。

2.自動車の型式承認プロセスにおいてEUによる監視制度を確立すること。

  今回の結果を見ると国家当局による監視とEU全体で行われている型式承認のプロセスはうまくいっていない。

3.EUおよび加盟国における環境法制の強制力を強化すること。

  これには市民環境監査官に人々の健康と環境を守るために必要な権限を与えることを含む。

4.詐欺的行為を行った企業にはEU法に従っていることが明らかになるまでEUのロビー登録を停止すること。

  調査に関連する企業とEU機関との協議は詐欺的行為の疑いが晴れるまでは延期する。

市民団体の数の力が一つにまとまって、EU諸機関が行動を起こすよう説得することが期待されています。間違いなくこれら4つの提言の進展が今後数週間のうちにあるでしょう。

 

報告者: Finlay Duncan

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