モンテネグロで初めての足環付けプログラムに地元のボランティアが参加
過去20年におけるモンテネグロの鳥の調査はアドリア海フライウェイの重要性を示すものでした。けれども、保護活動の中心は殆ど水鳥に置かれており、鳴禽類(スズメ目)はほぼ無視されていました。しかし、新しいイニシアティブとボランティア活動がこれを変えつつあります。
モンテネグロにおける渡り鳥のホットスポットにはアドリア海の沿岸域、ボヤナ・デルタおよびシュコダル湖周辺が含まれます。渡り鳥にとって最も重要な生息地の一つはモンテネグロの首都ポドゴリツアの北西3kmを流れるマレザ川流域です。渡り鳥は複雑なモザイク状の環境内で採餌をします。マレザは渡り鳥だけの安息地ではありません。特に夏の間ここはポドゴリツアの市民にお気に入りの遠出の場所です。
地元住民の参加と支援が効果的で持続性のある保護活動には必要不可欠です。バードライフの‘地元の参加と強化プログラム’は生物多様性の保全と人々のために地域レベルでの保護活動を実現するためにバードライフ・パートナーシップと共同で活動する個人・団体を支援するものです。
鳥の休息、採餌、渡りにとっての重要性に基づき、‘マレザ鳥類学ステーション’が今年の初めに設立され、初めての足環装着がCZIPモンテネグロ(同国のバードライフ・パートナー)の支援で現在行われています。今年の初めに鳥類保護研究センターがモンテネグロ動物マーキング・センターを設立した時に地域グループCZIPが必要とされるようになりました。‘マレザ鳥類学ステーション’はこの調査が不十分な地域での渡り鳥の研究を目的に開始されました。マレザで活動するチームのメンバーは生物学の学生や自然愛好家などのボランティア・グループと共同で活動する専門教育を受け、免許を取った鳥類標識調査員で構成されています。
モンテネグロ・テレビの標識付けの番組をご覧ください。
CZIPは鳥の標識付けに必要な環境保護局からの許可を取り易くするために手助けを行い、カスミ網や足環やその他の装備を提供しました。またボランティアを動員して標識付けを行うエリアの清掃を行いました。足環付けは多くのボランティアが参加して毎日行われ、年齢層も7歳から87歳まで多岐にわたり、皆がこの活動への参加にワクワクしています。ボランティアの数は毎日増え、このプログラムは地元メディアによる紹介もあって広く一般に知られるようになっています。
15歳の学生で、最も若いCZIPにボランティアFilip Matanovićはもっと鳥について学ぶために自由時間のほとんどを標識付け作業に費やしています。その理由について彼は次のように説明します:
「書物では勉強できない鳥の実習をしたり、種と鳥の特質を学ぶというアイディアが私を魅了し、この足環付けの作業に参加しました。この作業は簡単な追跡と鳥の研究を可能にし、鳥と直接触れる機会を与えてくれるので気に入っています。私がやっているのは鳥をカスミ網から外す手伝いや足環付けの作業を行う時に鳥を持っていること、それとカスミ網をたたむ作業がほとんどです。お蔭でムシクイ類やサヨナキドリについて学び、鳥を傷つけないように捕まえるにはどうしたら良いか、成鳥と幼鳥の違いや雄と雌の違いなどを学びました。鳥の標識付けは鳥の個体群の大きさや移動を追跡することが出来、また単に数を数えるだけよりは多くのデータを得られるのでとても重要です。」
標識付け作業が始まった最初からFilipは毎日来て、今後も参加する予定です。「私が標識を付けた最も魅力的な種はカワセミで、作業中最も大人しかったのはサヨナキドリです。何回も捕まる鳥も多く、一番は数日前に足環を付けたムシクイ類でした。」
首都ポドゴリツアでの標識付け作業は秋の渡りが終わるまで続けられ、重要な科学的データをもたらし、おそらくモンテネグロにおける新発見の種を明らかにするでしょう。その結果は要約されてEURINGやその他の関係研究機関に送られ、モンテネグロの一般の人たちに渡り鳥の重要性を伝えるためにも利用されるでしょう。
モンテネグロでの標識装着は重要なサイトの特定を含め、アドリア海フライウェイにおけるスズメ目の鳥の渡りに関する知見を増やしてくれるでしょう。そして同時に標識装着の目的に効率的に取り組むために生物学者、学生、NGO、地元コミュニティの能力構築を行い、渡りの奇跡に驚嘆するFilipのような新たな地元の熱意のある人やボランティアを引き込むでしょう。CZIPは近い将来モンテネグロに、鳥のモニタリングのための定期的な作業としての足環付けの普及に貢献してくれる、若く、技術と熱意を持つ標識調査員が育つことを期待しています。
報告者: Marija Stanišić
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