タンザニアでの調査の成功: 絶滅危惧ⅠA類のハシナガサイホウチョウの新しいテリトリー17カ所を発見
昨年一年間をかけてタンザニアの東ウサンバラ山脈で絶滅危惧ⅠA類のハシナガサイホウチョウに関する分布と生息地の必要条件に関する情報を得るための集中的な調査とモニタリングが行われました。
ハシナガサイホウチョウは僅か2ヵ所でしか生息していません: モザンビーク北部のNjesi高原と、個体数の大半を有するタンザニアの東ウサンバラ山脈の2ヵ所です。これら2つのサイトはおよそ1,000km離れており、何回もの調査にもかかわらず本種は他の場所では見つかっていません。本種の生息地の面積は僅か数百平方キロで、これはナイロビやダルエスサラーム(タンザニア最大の都市)の面積よりも狭いのです。
ハシナガサイホウチョウは特異な生態系を持っています。森林への依存度が高く、森林の外側や面積300平方キロ以下の小さな森林には生息しません。さらに本種は樹冠の隙間や川の流れに沿った場所や森林の縁など比較的森林が開けた場所に限られて生息しています。生憎このような生息地に対する必要条件と分布は人間の活動域と重なります。そのため人による攪乱がしばしば本種への脅威になります。
小作農地所有者、自給自足農業および商品作物生産により60%以上の原始林が農地に変りました。残された森は相当な攪乱を受け、細分化され、アマニ植物園の開発に伴ってタンザニアに移入された数多くの外来植物が外部に拡散したことより劣化しています。営巣地も農業や屋根ふき材のために藪が切り払われて破壊されています。森林の縁での観察頻度は森林内部でのそれよりも30%低くなっており、本種が林縁のテリトリーを占める時間が短くなってきており、これは攪乱のレベルが高くなったことにより営巣地を放棄していることを示唆します。
バードライフのタンザニアのプロジェクト事務所はRSPB(英国のパートナー)と共同でハシナガサイホウチョウに焦点を絞って東ウサンバラの固有で危惧される生物多様性を守るための複数年のプロジェクトを始めました。昨年最優先で行った集中的なフィールド・ワークは本種の分布の高解像度地図の作成でした。地元の鳥類学者のフィールド・チームが本種の識別のためのトレーニングを受けました。ハシナガサイホウチョウは小型でコソコソと動き、目立たない習性により観察が難しい種としてよく知られているのです。
GPS、双眼鏡、レーザー距離計および空中写真を装備した地元のチームが200平方キロのエリアを徹底的に調査し、数メートルの解像度で全ての観察を記録しました。その結果出来た地図は80~120のテリトリーに相当する集中的な場所を示し、そのうちの数ヶ所はおよそ8年に亘り継続的にハシナガサイホウチョウにより占有されていました。この地図は観察が最も集中していたサイトを示し、これは同時に人の活動が本種に対する最大の攪乱要因になる場所を示しています。この集中的なフィールド・ワークによりこの絶滅危惧ⅠA類の鳥の17カ所もの新しいテリトリーの発見につながりました。これは素晴らしい発見で、プロジェクトのスタッフが保護活動のターゲットを絞り本種の現状に関するより多くの情報を提供することを可能にするものです。
報告者: Obaka Torto