海鳥保護のために地中海で活動しているバードライフ・パートナー

海鳥と海洋保護の専門家が今週海鳥に関する現在の知識と彼らが直面している主な脅威について話し合うためにチュニジアの都市ハンマメットに集まっています。

バードライフからはパートナーのチュニジア鳥類愛好会(Amis des Oiseaux: チュニジアのパートナー)、バードライフ・モロッコおよびヨーロッパのパートナーのSEO(スペインのパートナー)、バードライフ・マルタ、ギリシャ鳥類学会などが代表として今回のワークショップに参加しています。‘特別保護区(SPA)’のための‘地域活動センター’(RAC/SPA)とMedMaravis の主催によるこのワークショップは、地中海地域全体の専門家に彼らの海鳥保護活動の経験を共有する絶好の機会を提供します。

バードライフの欧州海洋保全オフィサーのMarguerite Tarziaは「地中海に生息する海鳥は過剰漁獲、混獲、外来捕食者、不適切な計画による環境破壊、海洋汚染などまさに地中海全域で起きている脅威に直面しています。今回のような国際会議はこの素晴らしい豊かな海の保全に協力して当たる最も効果的な方法です。」と言いました。今回の会議に続き、バードライフはパートナーのバードライフ・マルタと共同で11月23日~27日に地中海の海鳥保護に関する国際ワークショップを開催します。そこでは地中海の国境をまたぐ海域や公海上での海鳥保護に的を絞り、また主な脅威や保護のために最も効果的な方法やメカニズムを精査する予定です。

バードライフの持つ海鳥に関する知識と経験は地域規模で保護活動を効果的に行う上で不可欠です。バードライフ・マルタの調査部門ヘッドのBenjamin Metzger博士は「私たちはマルタでのヨーロッパミズナギドリの3年間に亘る集中的な追跡調査を終えたばかりで、これから本種の保護のために指定が必要なサイトを特定する作業に入ります。このプロジェクトはマルタで最初の海洋特別保護区の指定を見越しています。」と言いました。

2014年にスペインはSEO/BirdLifeのマリーンIBAリストに基づき39カ所の海での‘特別保護区(SPA)’の創設を発表しました。これによりスペインで保全される海域は大幅に増加しました。けれども、バレアレスミズナギドリ(Balearic Shearwater: 和名未定につき仮称)など最も危惧される海鳥の保護に関しては、地域全体でまだやるべきことが多く残っています。SEO/BirdLifeの海洋コーディネーターのPep Arcosは「最近のバレアレスミズナギドリの調査では以前想定されていた数よりもその個体数が多いことが示唆されていますが、これは本種が増加していることを意味するのではなく、単に調査の結果が予想よりも良かっただけです。むしろ反対に本種は依然として急激に減少しており、その主因が混獲であることが多くの証拠により示されています。この脅威に取り組まないと本種は来世紀中に絶滅するでしょう。

漁具による海鳥の偶発的捕獲(混獲)は多くの地中海の海鳥にとって依然として主な脅威のままです。バードライフはこの問題の規模を理解する活動を行っており、海鳥殺戮を防ぐための解決策を探り始めました。問題の規模を調べるための調査を狭い範囲で行いましたが、地域レベルでは何羽の鳥が混獲されているかはほとんど分かっておらず、地中海全域でこの問題に取り組む協調したアプローチが取られたことはありません。

バードライフでは最近、地域内で一貫性を持ち各国が協力して海鳥の混獲に取り組むため、‘欧州海鳥タスクフォース’を立ち上げました。アフリカ南部や南米で私たちが行った‘アホウドリ・タスクフォース’で得た国際的な経験を生かして、専門の監視チームが地中海のスペイン領内の底引き網漁漁師と共同で問題を理解し、海鳥の殺傷数を減らすための効果的で適切な解決策を見つけるべく活動しています。バードライフではこの活動の範囲を地中海全域に拡大することを目指しています。

報告者:エロディー・カンタルーブ

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