フランス: LPOが密猟されたズアオホオジロの放鳥で直接行動を起こす
フランスでは毎年数千羽のズアオホオジロがEU法やフランスの法律に違反して密猟されています。9月4日(火)、LPO(フランスのバードライフ・パートナー)のメンバーが捕獲された鳥を放鳥し、フランス当局に密猟者を公式に訴えるために攻勢に出ました。
ズアオホオジロはスズメ目の渡り鳥の1種で、欧州では狩猟が禁止されていますが、フランスではフランス料理の珍味とされています。夏の終わりにズアオホオジロの渡りのルート沿いのフランス国内に居る間に、この小鳥は同国南西部のランド県のハンターにより密猟されてしまいます。
このしきたりを支援する人たちはこれを大きな影響は及ぼさない地方文化の象徴だと考えています。彼らがまるで分っていないのは、欧州におけるズアオホオジロの保護状況は非常に悪く、絶滅の恐れがあるということです。過去30年の間に欧州におけるズアオホオジロの個体数は84%も減少し、近年で最も減少が著しいスズメ目の種になってしまいました。
フランスでは本種の個体数は特に危惧されており、過去11年の間に42%以上減少して、現在は15,000ペア以下になっており、その重大な原因が密猟によると考えられています。その数は一時は年間5万羽に及んでおり、これはドイツ、ベルギー、オランダの個体数の10倍に相当します。
フランスでは1999年以後環境法によりズアオホオジロが保護されるようになり、同法では本種を殺すこと、運搬、利用、販売または購入が厳しく禁じられ、同法の違反には15,000ユーロの罰金が課せられます。それにもかかわらず1万~3万羽が今も捕獲され、本種の個体数回復を図るEUの保護活動を台無しにしています。
この状況に注意を集め、フランス当局に断固たる行動を取ることを促すために、LPOの保護活動家たちは9月4日に電撃的な行動に乗り出しました。密猟では、ズアオホオジロを囮(おとり)として、野生の鳥を呼び寄せてカスミ網に掛けます。LPOは、午前7時にケージに入れられた囮(おとり)のズアオホオジロを放鳥するために、密猟場所を不意打ちで押し掛けたのです。そして、調理のために解体されていた鳥がフランス当局に密猟の証拠として提出されました。
昨年LPOは欧州委員会に対してフランスにおける状況について注意を喚起しました。同委員会はフランス政府に対して欧州野鳥指令(2009/147/CE)第5条に基づく義務に直ちに応じるよう求める公式通知を送ってこれに応えました。この件が無視されることの無いよう、LPOは欧州委員会に対して密猟のシーズン全期間、密漁の施設のある場所を知らせる予定で、これによりフランスがEU法に違反したことにより制裁が加えられる可能性があります。
籠から皿へ・・・
伝統的に、生きている囮のズアオホオジロが囀ることで野生の仲間を呼び寄せるために小さな籠に入れられます。野生の鳥がこれに近付くとカスミ網に掛かります。その後、捕えられた鳥は少なくとも3週間丸い小玉ほどに太るまで餌を与えられます。重さが一定にまで太ると、哀れな小鳥は料理される前にアルマニャックと呼ばれるフランスの酒に浸されます。フランスではこのような特別な‘珍味’の価格は150ユーロにもなります。このようなことが違法であるにもかかわらず、今でも最上級のレストランの幾つかではズアオホオジロ料理がメニューに載ります。
(報告者:エロディー・カンタルーブ)
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