密猟により絶滅が危惧される鳥類のための重要な決定

写真提供:BirdLife International

8月スイスで開催された会議で、180ヶ国を超える政府がハゲワシ、鳴禽類、サイチョウ、オウムなど多くの野鳥でエスカレートしている国際取引を取り締まるための重要な決定が行われました。以下はその重要な決定の一部です。

各国の政府は、8月末に開催された「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(通称CITES:ワシントン条約)」の締結国会議にて、ハゲワシ、鳴禽類、サイチョウなど極めて絶滅が危惧される鳥類の国際取引を取り締まるための重要な決定を行いました。今回はこれまでにないほど鳥類に関する議題が多く、これは世界中で鳥類に対する密猟が招いている脅威の増加徴候を示すものです。

最も重要な決定の一つが西アフリカのハゲワシに関するもので、今回初めて議題にあがりました。ハゲワシ類は世界で最も絶滅が危惧される鳥類のグループで、11種がアフリカに生息し、そのうちの7種が絶滅の危機にあります。密猟した動物の死骸にハゲワシが群がるのを防ぐために密猟者が行う毒殺は、以前から多くのハゲワシ類にとって脅威であることが知られていました。

「アフリカにおけるハゲワシの死因の29%は、信仰上の使用を目的とする違法売買のための殺戮によるものです。」とバードライフのハゲワシ保護マネジャーのBeckie Garbett博士は言います。「これは主に、多数のハゲワシの個体群が殺害された西アフリカで起きていることです。なかなか厄介な問題であり、ハゲワシのためにこの脅威を軽減するのには、西アフリカの全コミュニティの支援が必要です。」

会議の席上で、ブルキナファソ、ニジェール、セネガルは地域に生息する6種のハゲワシの窮状について懸念を提起し、この問題への関心を集めました。これを受けて、ハゲワシの国際取引を調査するワーキング・グループの設立と政策の立案と実施が命じられました。政策の多くはバードライフが立案を支援したハゲワシを保護するための計画に基づいています。

鳴禽類の窮状については、米国とスリランカから密猟と国際取引をどのようにして防止するかについての調査実施が求められ、懸念が提起されました。米国は近年鳴禽類の輸入が増加していることを承知しており、野生の個体群に与える影響を懸念しています。以前バードライフのアジアにおける鳴禽類の売買に関する活動が注目されたように、この発言はアジア、アフリカ、欧州およびラテンアメリカの各国に懸念が広がりました。しかし、6,000種を超える鳴禽類のほとんどがCITESのリストに載っていないことから、世界的な国際取引の状況を把握するのが困難です。そこで会議参加国は保護、管理および法律執行を確立するために鳴禽類売買についてより多くの情報を収集することを求めました。

「鳴禽類は美しい声とカラフルな羽衣により益々ペット売買や歌唱コンテストのために罠猟の影響を受けています。」とバードライフの絶滅阻止プログラムの上級マネジャーRoger Safford博士は言います。「このことにより、今や世界中で様々な鳥類の生存が危うくなっています。保護活動家は緊急な対応が求められていることを知っており、行動に移しています。しかし国際的な鳴禽類取引の規模と範囲について新しいアセスメントが必要な種が極めて多く、それにより、私たちは管理と保護の優先事項について自信を持つことが出来ます。」

ハゲワシと鳴禽類の討議による正式な結果には、CITESの加盟国がこれらの決定を実行するのに必要な資金の提供を求めることが含まれました。

鳥類に関する多くのその他の事項が会議で話し合われました。国際取引が禁止されているにもかかわらず、オナガサイチョウは硬い犀角のために依然として密猟の対象になっており、その保護のための法律施行活動を支援することで合意がなされました。カンムリヅルはCITESの付属書Ⅰに移行されましたが、それは絶滅が危惧される鳥類の国際商取引が禁止されることを意味します。一方、オナガキジは付属書Ⅱに加えられましたが、これは本種の国際取引が監視され、認可システムによってのみ取引が認められることを意味します。

「象牙とサイの角の違法取引や今年はキリンがCITESにおいて大きく取り上げられます。」とバードライフの政策チームの責任者Noëlle Kümpel博士は言います。「今回の会議で私たちのチームが、鳥類に関する多くの提案であれほど多忙だったことが、野生生物の国際取引がいかに広範囲で持続不可能なものであるかということを示しています。これほど多くの鳥類についての提案が必要であるということは、世界中の鳥類に対する違法な取引の脅威の規模と、これに取り組む際に直面する課題を強調しています」

報告者:BirdLife International

 

 

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