バードライフは境界を超える

シエラレオネとリベリア国境に位置するゴラ森林とマノ川
写真提供:D Zeller/RSPB

バードライフ・パートナーシップは、かなり以前から鳥を保護する活動は他の生物多様性とIBA(重要生息環境)から与えられる自然の生産物と生態系サービスに依存している人々のコミュニティに対して良い影響を与えることを認識していました。

世界で最初の国際的な自然保護団体として、バードライフは自然保護の目的を達成するために国や政治や文化の境を超えて活動する先駆者でもありました。

2013年、シエラレオネのバードライ・パートナーCSSLとリベリアのパートナーSCNLは、RSPBとVBN(それぞれ英国とオランダのパートナー)の支援を得て、西アフリカに最後に残された広大な上ギニア森林の保護を続けています。リベリアのゴラ国立公園をシエラレオネのゴラ熱帯雨林国立公園に周辺の森林回廊を加えて一体化した‘国境を超えた平和公園’計画は最終的に2千平方キロの森林を保全します。

国境の両側にある森林コミュニティは新規の雇用やより確実な生計手段の確保による利益を受け、公園の境界設定や保全に密接に関わります。バードライフ・パートナーシップは、より安定的で持続可能な生計を確立し、野生動物の肉を採取することや焼き畑農業などを止めることを目的とする80のコミュニティ・グループを作りました。40の女性グループは食糧や家財道具などを作る仕事のための小額クレジットを受けています。

ドイツのパートナーNABUは1990年代からキルギスタンでユキヒョウを守る活動を主導しています。2013年9月には天山山脈にNABUが設置した18台の隠しカメラの一つがユキヒョウの写真を撮ることに成功しました。この写真はキルギス共和国の首都ビシュケクでの‘世界ユキヒョウ保護フォーラム’に12のユキヒョウが生息する地域の代表が集まる会議の直前に公表されました。NABUはこのフォーラムに大きな貢献を行い、会議はユキヒョウ保護のための国際的合意、活動計画および資金調達に関する決定を行いました。

ウクライナのパートナーUSPBは同会の‘ステップの生物多様性’プロジェクトの一環として、2013年に絶滅危惧ⅠA類のサイガ・アンテロープ(ウシ科)10頭とクーラン(野生のロバ)5頭をCharivna Gavan国立公園に再移入しました。これらの大型有蹄類は草を食み、種子を撒き散らすことによりステップの環境を再生する助けを行うでしょう。

ネーチャー・ケニア、エチオピア野生生物・自然史協会およびバードライフ南アフリカ(いずれもバードライフ・パートナー)は2013年に生物多様性と自然資源の持続可能な利用により地域コミュニティの生計改善を目的とするプロジェクトをまとめました。このプロジェクトは6つのサイトに焦点を当てていますが、そこは世界的に絶滅が危惧されるキムネクロハタオリなどの重要な生息地です。このプロジェクトの最終年度までには自然の植生が再生し、木材やパピルスなどの自然の産物がより持続可能となり、住民の生計はより安定化し、地元の所得も改善することが期待されています。生計や生物多様性の利益以外にも、このプロジェクトは国内外レベルでの政策に影響を与えることに成功しました。

バードライフの‘瀬戸際で暮らす’プロジェクトは、パートナーシップは鳥だけをケアするという認識を変えつつあります。同プロジェクトはVBN(オランダのパートナー)が主導し、他のパートナー、地域ベースの団体、地域保護グループ(LCG)およびその他の機関と共にサハラ砂漠以南(サヘル)の国々での環境劣化を減らすための活動を行っています。その開始以来、同プロジェクトはブルキナファソ、モーリタニア、ナイジェリアの9ヶ所のサイトで様々な生計手段への介入を行いました。最近達成した活動では、新しい井戸がブルキナファソの2ヵ所のIBA周辺のコミュニティに安全で新鮮な水を供給しています。

べトナム中部の森林保護区周辺の緩衝地帯にあるコミュニティは、指定された森林地域の保護と管理を行うことと引き換えに価値の高いラタンヤシの植林、収穫および販売に基づく生計手段を得るバードライフのプロジェクトの利益を得ています。このプロジェクトはコミュニティと地方当局から強い支援を受けており、バードライフとヴェト・ネーチャーはこのスキームを他の場所でも行うための資金を求めています。

レバノンのパートナーSPNLはレバノン南部のQolieleh海洋Himaサイトでの活動により国際的な賞を受賞しました。国連‘人間居住プログラム’の下で、住環境を改善するプロジェクトに対して‘ドバイ国際最優良事例賞’が与えられました。海岸、海鳥、他の海洋生物を保護すると共に、Qolieleh Himaは地元の人たちに持続可能な漁業や他の自然資源に基づく生計手段を得る訓練を行い、エコ・ツアーを促進することにより利益を与えています。2004年以来、SPNLは伝統的なHima保護区システムの再建を行っており、そこでは自然エリアを保全し自然資源を管理する際には地元のコミュニティが係ることの重要性が認識されています。Himaでのアプローチは地元の行政機関の支援を得て、中東や北アフリカのIBAを保全するために用いられています。

バードライフ・パートナーシップの活動は鳥の保護を超えて自然と人々に利益をもたらし、更に現在を超えて未来に影響を与えます。

報告者:ニック・ラングレー

 

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