USPBが大草原地帯の再生プロジェクトの新段階に到達
USPB(ウクライナ鳥類保護協会: ウクライナのパートナー)はEU(欧州連合)からの資金支援により同会が進めている‘大草原地帯(ステップ)の生物多様性’プロジェクトの一環として、絶滅危惧ⅠA類のサイガ(ウシ科、別名オオハナレイヨウ)10頭とクーラン(野生のロバ)5頭をクリミアのTarkhankut半島にあるCharivana Gavan国立自然公園に再放獣しました。
ウクライナでは初めての試みですが、プロジェクト・チームは本来の生息地の修復者として働く野生動物を自然に戻すというユニークな再生方法を用いています。サイガとクーランは糞により土地を肥沃にする一方、蹄で種子を土の中深くまで押し込み、発芽をし易くします。また、彼らが草を食む習性は大草原地帯(ステップ)を広々とした場所に保ち、雑草が広がるのを防ぎます。USPBは国立公園内の劣化したステップ生態系を再生するためにデザインされた巨大なオープン式の鳥舎(102ヘクタール)内にこれらの動物を持込み、リリースしています。それにより、この場所を生息地とする全ての野生生物に利益をもたらします。
このプロジェクトの次のステップには来年6月に予定されているマーモット(ジリス)の放獣が含まれています。公園への放獣のために用意されているマーモットの個体群は既に冬眠に入っており、今冬眠を妨げるのは望ましくありません。彼らは大草原地帯の自然の耕作者としてその穴掘り技術が草原の再生に重要です。
ウクライナ人や世界の人々に‘ステップの生物多様性’プロジェクトの最新の進展状況を伝えることに加え、USPBはChornomorskeにおいて討論会を開催しました。これは地域や地元のコミュニティにこのプロジェクトについて知ってもらい、国立公園の範囲を黒海まで拡大するための一般の人々からの支援を求めるものでした。
「ここはクリミアでも、主たる所得を黒海のビーチへ行きやすいことによる夏の観光と、主としてハンターのための冬の観光に依存しているエリアです。このプロジェクトが成功するかどうかは私たちの活動に対する地元の人々の関心にかかっており、彼らがこのプロジェクトを完全に自分たちのものとして受け入れるようになることが必要です。」とUSPB理事のOleg Dudkin博士は言いました。
「これはクリミアを数百年前の生物多様性のレベルと同程度に戻すための慎重な実施と維持活動を必要とする10年計画なのです。今私たちは‘ウクライナのセレンゲティ’を作っているところです。私たちはまだ生まれていない世代の人たちにクリミアをより生態的にバランスの取れた場所にするプロセスの一端を担っていることを誇りに思います。」とDudkin博士は話を締めくくりました。