多くの女性を保護活動に巻き込む5つの方法

ケニアのDakatcha森林地方で有機農業プロジェクトを行っている女性 写真提供:© Thomas Lehmberg / DOF

保護活動には、地域住民の全員が参加してくれることが成功のカギです。しかし現状は、多くの女性が取り残されています。東アフリカにおけるCEPF(クリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金)プロジェクトでは、どのように女性を巻き込んでいるのかを紹介します。

長期的な自然保護活動の成功の裏には、地域住民全員の参加があります。もし一部の人でも、自分たちが恩恵を受けている生態系を守ることの重要性を信じなければ、長期的なプロジェクトの成功はないでしょう。しかし、私たちは本当に全員を巻き込んでいるのでしょうか?コミュニティにおいて、男性が必要とする事や彼らの懸念についてはよく聞かれますが、女性や若者が保護活動に加わるのには様々な障害があり、時には保護活動家もこれに気付いていないことがあります。14の東アフリカの国が参画する「東アフリカ山岳地帯生物多様性ホットスポット」において、CEPFは現在これらの課題に取り組むべく活動を共同で行っています。

「「東アフリカ山岳地帯ホットスポット」では、ジェンダー(性別)について多くのことを話し合っており、その議論はつきません。しかし保護プロジェクトのすべての面で、ジェンダーを考慮するのは容易ではありません。」と東アフリカ山岳地帯実行チームのリーダーMaaike Mantenは述べています。

第1段階としてCEPFは、受給者(CEPFが支援する現場で活動する地元の保護活動団体)に対する「ジェンダー(性別)ツールキット」をつくりました。このツールキットは、保護団体がプロジェクトのあらゆる段階で女性を参画させる助けとなります。

以下はその上位5つのヒントです。

 

1.組織の政策にジェンダー(性別)の問題を加えること

「女性は農業、取水、一般的な自然資源の利用などの環境問題に密接な関わりがあるのですが、彼女たちが「専門的な自然保護活動」に関与することはあまりないことが分かっています。女性には、男性ほどの労賃の仕事はありません。私たちの補助金で雇用される保護活動実行者の大多数は、男性です。」とMantenは言います。

新しい「ジェンダー・ツールキット」の助けにより、CEPF受給者はこの不平等に取り組んでいます。

「ツールキットは私たちのジェンダー政策の再形成を手助けしてくれています。今は、承認の発達段階にあります。人的資源管理など性別がもっと徹底して組み込まれる必要のある分野があるのです。」とウガンダのムバララ科学技術大学のMedard Twinamatsiko Katoneraは言いました。

ネーチャー・ケニア(ケニアのパートナー)では、最近操作マニュアルにジェンダーを組み込みました。「本政策には、ジェンダー問題がネーチャー・ケニアのすべてのプログラムに的確に含まれることを目指しています。「ジェンダー」は、全ての計画と報告手続きの中に文書化され記録されなければならないのです。」とネーチャー・ケニアの種とサイトのマネジャーPaul Gacheruは言いました。

 

2.女性にリーダーシップの役割を果たす自信をあたえること

多くの女性にとって、自然保護活動に対し意義ある参加をしているという自信がないことが、最大の障害の一つです。

「野外活動において、レンジャーは男性がなる傾向にありますが、それは女性では出来ないからではなく、そもそも女性がやってみるまで自分にはできないと考えていたからです。私たちが話をした何人かの女性レンジャーは、この仕事が自分たちにも出来たことが新発見だったと言いました。今では彼女たちは皆にとってよいお手本です。」とMantenは言いました。

自然保護団体は、女性が失っている自信を得る手助けができます。

「私たちが共に活動しているコミュニティの文化的価値を考慮すると、大部分の政策決定プロセスは家父長制です。女性と若者の役割は見落とされがちです。このことは、コミュニティ・グループの指導的地位にも反映しています。それ故、これらのグループのトレーニングでは必ずジェンダー問題を含めるようにしています。例えば、彼らに女性や若者を指導者としての役割を与えるよう促します。これは彼らの管理規定や細則にも置き換えられます。」とGacheruは言いました。

プロジェクトの開始当初から野生生物保護協会(タンザニア)は、地域住民全員の意見に価値があると説明しています。「私たちは、コミュニティに対してこのプロジェクトは全てのジェンダーを考慮すると伝えています。彼らの希望に対処し、男女を問わず参加を求めます。そして特に指導的地位への自信を深めるのです。」とプロジェクト・ディレクターのNoah Mpungaは言いました。

Echuya森林で無放牧牛プロジェクトを行っているSeseriya Nyiradekeye
写真提供:©Seseriya Nyiradekeye

 

3.何人の女性が関与しているかの記録を取ること

プロジェクトの目標を設定する時にCEPF受給者はジェンダー(性別)を基準の一つとして使っています。例えば何人のコミュニティのメンバーが有機農業の研修に参加したかを、例えば20人などと言う代わりに、この数を男性14人、女性6人と言うように性別を分けることが出来ます。

「男女の総数を数えるだけでは全てを伝えることはないでしょうが、もしこのような記録をする習慣をつければ興味深いものになるでしょう。一部のバードウォッチャーはいつも見た鳥の群の数を数えますが、私は同じことを男女の集計で行います。今日の小さなランチカフェでの昼食では、男性17名と、私を含め女性2名でした。これと同じことを十分な回数行えば状況がどのようになっているかについてとても良い判断が出来るようになるでしょう。」とMantenは言いました。

ウガンダでは、CEPFにより、「公衆衛生を通した自然保護」は出席者の氏名と性別を表計算を使って記録しており、一歩先に進んでいます。また、女性参加者の最少人数を考慮した活動を計画しています。表計算は、彼らが性別の均衡に重点を置き続ける助けとなります。

人数に加えて、人々のストーリーも同様に役に立ちます。例えばある団体はコミュニティのメンバーにプロジェクトに参加するための彼らの能力にどの程度満足しているかを問う匿名の調査票を配っており、それにより男女の回答を比較することが出来ます。

 

4.時と場所を考慮すること

時と場所を少し変えれば参加者が変わります。「ジェンダー・ツールキットは、私たちがコミュニティの意識向上キャンペーンをいつ行えばよいか考えさせ、女性の家事の邪魔にならないようにしました。今ではコミュニティーメンバーに会議を開催するのに最も適切な時間を選んでもらうようにしています。」と国際ツル財団のAdalbert Aine-omucunguziは言いました。

同財団はどこで会合を持つかについても変更しました。「私たちは会合場所までの歩く距離を減らして、女性が家事をするための時間が減るのを防ぎました。報告によれば会合が家の近所で行われる時には、夫は妻が参加できることを喜んでいます。」とAine-omucunguziは言いました。

 

5.会合の間、女性に自分の居場所を与えるように考慮すること

CEPFの補助金受領者Resilience Nowは、ワークショップと研修を行う時に女性は大規模なセッションよりも小規模なフォーカスグループ活動やロールプレイング演習に参加する傾向があることに気づきました。そこで、女性が特に発言を行うのに神経質で気持ちが乗らない第一日目に出来るだけ多くのフォーカスグループ活動を行うようにイベントをアレンジしています。

Resilience NowのClaire Galvez Waglerによれば、性別や年齢で参加者のグループ分けをすると追加の利点が生じます。より大きなグループが一緒に戻ってくれば彼らは直面している異なる課題を特定することができるのです。「私たちは女性と男性、若者と高齢者の意見を考慮に入れることの利点を強調することが出来ました。」とGalvez Waglerは言いました。

 

将来を見据えて・・・

時にはジェンダーの壁はこれまでに見たように、気が付くことによって簡単に破ることが出来ます。しかし、その他の点は文化に深く根差しています。「まだ望む状態までには遠い道のりですが、私はそこに至ることが出来ると信じています。そして小さな一歩でも大きく直接的な影響をもたらすことが出来ます。」とMantenは言いました。

報告者:BirdLife International
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(本記事はCEPFのウェブサイトに掲載されたものです。)

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