絶滅したと思われていた鳥がバハマで再発見
2016年にグランド・バハマ島を襲った嵐で一掃されてしまったと心配されていた絶滅危惧ⅠB類のゴジュウカラ属のバハマの固有種が約2年ぶりに観察されました。しかしわずか一握りの個体しか残っていないこの鳥に、未来はあるのでしょうか?
バードライフのNigel Collarとバハマ・ナショナルトラスト(バードライフ・パートナー)のDavid Wegeからの協力を得たイースト・アングリア大学(UEA: 英国)の二人の研究者が2016年の大型ハリケーン「マシュー」の直撃により絶滅が心配されていたこのゴジュウカラ属を再発見しました。
修士課程の学生のMatthew GardnerとDavid Pereiraは、3か月間のグランド・バハマ島調査中に、2016年以来観察されていないゴジュウカラを発見しました。グランド・バハマ島はこのゴジュウカラ属の1種が生息する唯一の島ですが、現在2羽しか残っていないと思われ、本種は絶滅の瀬戸際にあります。
15年前、このゴジュウカラ属の鳥は繁栄していたとは言えませんが、現在のような危険な状態では全くありませんでした。2004年にはグランド・バハマ島で数百羽が記録されていました。しかし、2007年にはわずか23羽が観察されただけで、この劇的な減少はおそらくは生息地の消失と劣化によるものです。2016年9月に大型ハリケーン「マシュー」が島を襲った時、本種の残存個体群は一掃されてしまったのではないかと心配されました。
ゴジュウカラを見つけるためにGardnerとPereiraは34,000ヘクタールの松林の中の464か所の観察点を徒歩で、距離にすると700㎞も探し回りました。
「私たちは約6週間森を探し回り、その時点で約400㎞歩いており、希望を失いかけていました。まさにその時、突然ゴジュウカラのはっきりとした声と見間違えようのない姿が私のほうに向かって降りてきたのです。私は大喜びで叫び、恍惚としました。」とGardnerは言いました。
同じ頃にロマリンダ大学のZeko McKenzieに主導され、米国バード・コンサーヴァンシー(ABC)の資金支援を受けたバハマ人学生による第2のチームもこの種を探していました。最終的にUEAチームは6回、ABCチームは5回にわたり森の同じ区域でそれぞれが本ゴジュウカラを記録しました。GardnerとPereira(UEAチーム)は同時に2羽を観察することがなかったので、おそらくは1羽しか残っていないだろうと考えるに至りました。けれどもMcKenzie(ABCチーム)は2羽が一緒にいたところ観察したと強く信じています。
このような再発見があっても、この鳥の復活のチャンスはわずかです。
「悲しいことに本種が絶滅の淵から回復するチャンスは非常に少ないと考えています。残された数が極めて少ないことと、本種の減少を招いた正確な原因が分からないからです。」とUEAの生物科学校の上級講師のDiana Bell博士は言いました。「それでも原産のカリブの松林を保全する活動を続けることは極めて重要です。そこはミドリツバメ属の一種、ハゴロモムシクイ属の一種やカオグロアメリカムシクイ属の一種など他の固有種にとって非常に大切な生息地でもあるからです。」
報告者:Margaret Sessa-Hawkins