香港の鳥のエコ・アート

絶滅危惧鳥のイメージが地元の風景に投影された姿 資料提供: © Hong Kong Birdwatching Society / Cheung Wai Lok, Matthew Kwan

数千年にわたり、自然は世界中の芸術家たちに息をのむような美しい作品を生み出させてきました。そして、人々に自然を観察させ、楽しませることによって、自然を守るための動機づけになるのです。これが香港観鳥会が私たちのメッセージを広く一般に伝えるために、保護活動と創造性を結合した革新的なプログラムを導入した理由です。

芸術と自然は常に手に手をとって歩んできました。ここ数十年の間にランド・アート、アース・アート、エコ・アートなどの動きが欧州、米国、日本、台湾などで流行してきました。こうした分野の芸術家は、自らの自然への愛を表現すると同時に、一般の関心を高めるために創造力を用い、一部の人は自然の素材を利用したり、野外で創作活動に取り組んできたりしました。

1990年代以降、芸術家たちはさらに一歩進み、自然保護活動家と手を組み、彼らの知識を新しいジャンル、環境芸術の創造のために結集しました。エコ・アートはコミュニティ全体にメッセージを伝えるため、視覚芸術、美術館の壁面などへの作品展示、音楽、ダンス、ドラマを駆使してメディアに広がり、自然科学に興味を持たなかった視聴者に届けられました。

過去60年にわたり、私たちは香港観鳥会におけるビジョン:「人と鳥は共に、自然は永久に」を実現するために頑張って来ました。去年、私たちはいかに多くのジャンルの芸術家が、鳥の鮮やかな色彩と美しさに触発されて来たかを目の当たりにし、「香港の鳥のエコ・アート祭」を始めました。

かつて、香港には3,000羽ものツクシガモが越冬に来ていましたが、2014年以降観察記録がありません。
資料提供: © Hong Kong Bird Watching Society / Cheung Wai Lok, Matthew Kwan

私たちは、芸術が芸術家だけのものではなく、皆のものだと信じています。なぜなら、一人一人、誰もが創造性を発揮する力を持っているからです。そこで私たちは、バードウォッチングと芸術創作を結びつけるこの革新的な教育プログラムへ、あらゆるバックグラウンドの一般市民を招きました。自然に囲まれて芸術を創造する経験は、私たちを魅了する鳥だけでなく、鳥が生きている生息地への支援もかき立ててくれることを期待しました。

 

ライト・ステンシル

多くの鳥が香港で越冬したり、渡りの途中で香港を通過したりします。気候変動や生息地喪失は、一部の鳥が滅多に見られなくなり、姿を消した原因です。そのような種にはニシハイイロペリカンヘラシギクロトキツクシガモナベコウなどが含まれます。

1967年には、香港に15羽のナベコウが居ましたが、2015年が最後の観察年になりました。
資料提供: © Hong Kong Birdwatching Society / Cheung Wai Lok, Matthew Kwan

シルエットを切り出し、長時間露光撮影のフラッシュ光を使うことで、ワークショップ参加者たちは、これら失われた鳥の魂と精神を光として香港に呼び戻すことが出来ました。

 

浮き台

香港北部にある多数の養魚池はラムサール条約湿地に指定されており、十分な餌の供給により、渡り鳥にとって重要なエネルギー補給地となっています。私たちは新田(地名)の養魚池をプロジェクト・サイトとして選びました。

参加者が作った浮き台
写真提供: © Hong Kong Birdwatching Society / Cheung Wai Lok, Matthew Kwan

この浮き台は、鳥が採餌したり、長い渡りの途中で休んだりするために作られました。参加者は鳥に手紙を書くなどして、連想的な思考を養いました。彼らは自分の感情と鳥への望みを解釈し、周辺の環境からインスピレーションを得て、浮き台をデザインしました。

 

動く鳥

鳥の写真と言えば、ほとんどの人はすぐに自然のドキュメンタリーを思い浮かべます。けれども鳥の写真家は異なる種の鳥の形、色、特有の行動、独特の個性を捕える専門家です。実際に、鳥の種と様々な人々を比較するのは容易です。ある鳥はブルー・カラーの労働者のような行動をし、ある鳥はまるで引退した老人のようで、またある鳥は自身の反射に魅了されて自信過剰で美しいのです。

参加者は連続撮影やコマ撮り写真を使って鳥の予想外の行動や弱点を捕えました。次に写真を使い、特異な性質の写真の中の鳥を要約したタイトルを付け、パラパラ漫画を作成しました。

報告者: Christina YM Chan, Hong Kong Birdwatching Society

 

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