アホウドリ・タスクフォースのメンバーの生活とはどのようなものか?
ナウエル・チャヴェスは2009年以来アルゼンチン沿岸沖の漁業で海鳥を救うために‘アホウドリ・タスクフォース’で活動して来ました。毎年約13,500羽のマユグロアホウドリがトロール漁船団により殺されていると推定されています。チャヴェスと彼の仲間はこの状況を変えようとしています。
以下は‘アホウドリ・タスクフォース’のマネジャーStephanie Winnardにより行われたチャヴェスへのインタビューです。
どのようにして‘アホウドリ・タスクフォース’(ATF)のインストラクターになったのですか?
私はアルゼンチンのマル・デル・プラタ市で生物学を学んでいましたが、2007年に漁業監視員訓練コースに参加した時にLeo Tamini(アルゼンチンのATFチームのリーダー)に会いました。2008年に漁業監視員になり、3度目の航海ではえ縄漁船に乗り、アホウドリの混獲による死の状況を記録し、写真を撮ることになりました。この航海の後程なくLeoがアヴェス・アルヘンティナス(アルゼンチンのバードライフ・パートナー)とAFTに加わらないかと聞いて来ました。最初はパートタイム契約を結び、2009年10月に初めてのATFの航海に出ました。監視員として仕事を始めた当初は、船の周りにいる海鳥を見ても鳥の種の違いが分かりませんでした。私は「全部同じだよ」と言ったものです。
はえ縄漁船に乗り混獲を目のあたりにしたことがATFで活動したいと思うようになった理由だとおっしゃるのですか?
正にその通りです。初めてはえ縄漁船に乗り、多数のアホウドリの死を見た時です。私たちはこれを止めるために何かしなければならないと分かりました。平均して1時間に40羽のアホウドリが混獲の犠牲になっていました。見るも無残なことでした。
ATFのインストラクターの役割にはどのようなことがありますか?
今日、私はウシュアイア港を出る南部トロール船団に乗船し、漁師たちに‘鳥ポール’などの混獲回避(ミティゲーション)の方法について教えます。漁師と一緒に活動して彼らの考え方を変え、アホウドリを救うために‘鳥ポール’の使用を増やすようにするのが好きです。
お仕事の中で一番きついのはどのようなことですか?
海に出た時には妻や家族と離れなければなりません。陸で何かが起きても、何もできないことです。2015年に航海から戻ると父が重病でした。幸い彼は今は元気ですが、私を必要とする時に家族から離れなければならないのは辛いことです。
海で最も厳しいのは公海上で船上にいる時の荒れた気候や嵐などの危険です。航海の期間中、私はいつも一日か二日機嫌の悪い日があり、一人になりたいのですが、船の上では不可能なことです。そのような日には我慢をし、リラックスするように努めます。特にマル・デル・プラタの小型船は全長28~35mしかないので辛いです。これに比べるとウシュアイアの船は60~120mと大型なのでクルーズ船に乗った気分です。
アルゼンチンのATFにとって今までで最大の成功は何でしょうか?
アルゼンチンの漁業当局への数年に及ぶロビー活動の結果、2017年3月に冷凍トロール船では‘鳥ポール’の使用が義務付けられると発表されたことです。当面は‘鳥ポール’の使用は任意ですが、2018年5月からは義務になる予定です。
規制が義務付けられるまでの間にATFがやらなければならない主な任務は何でしょうか?
‘鳥に優しい’漁業会社にコンタクトすることにより最近の私たちの業績に関するニュースを共有することを始めました。このような会社とは私たちは既に船上で一緒に活動する機会があり、良い関係を持っています。次にこの規制の影響を受ける冷凍船を所有する会社にコンタクトし、誰もが問題なく操業できるよう彼らに必要な情報と助言を提供する予定です。更に後の段階では、私たちは全漁船団で混獲回避対策の利用状況をモニターします。また‘鳥ポール’の使用を船員に訓練することは基本だと考えているので、海への旅も続けます。
新しい海鳥保全への規制の意味は何でしょうか?
これはとても大きな一歩です。これはアルゼンチンのATFと海鳥調査チームの努力の結果を意味し、私たちはアホウドリにとって良い結果を生むものと期待しています。規制が海鳥の保護状態の改善を助けることを望んでいますが、海鳥がこれからも生き続けるためには多くの分野での行動が必要であることも理解しています。混獲の防止、外来種の駆除、船からの投棄物の戦略的管理、鳥にとって重要な地域を知るための追跡調査などです。
アホウドリを救うために海に出ていない時には何をしていますか?
走るのが好きです。2014年から去年までの間に5回ハーフマラソンに参加しました。マーシャルアート(武道)もやっています。空手は黒帯で生徒に教えています。妻や友人たちと家で過ごすのも好きです。そしてサメが好きです。大学の卒論はアルゼンチンの沿岸性のサメの繁殖生物学でした。
報告者: Stephanie Winnard
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