判決がアオガンを危機に
1月にブルガリア裁判所は、同国環境大臣による自然の価値が高く、世界的な絶滅危惧種の生息に脅威を及ぼす地域での風力発電所の建設プロジェクトに対する許可を取り消すという決定に対して、これを覆しました。
この判決は最終的には欧州裁判所での決定を待つことになるでしょう。
今回問題となっているのは、黒海沿岸にある世界的な絶滅危惧種アオガンの最重要越冬地であるDurankulak湖の近くに95基の風力タービンを建設するという計画です。これが進められれば、風力タービンとの衝突の危険性は言うまでもなく、アオガンはその採餌場所の主要な部分を失う可能性があるのです。この計画はEUのLIFE+の資金支援でブルガリア鳥類保護協会(BSPB: ブルガリアのバードライフ・パートナー)が進めているプロジェクト‘アオガンのための安全な場所’にも反するものです。このプロジェクトはアオガンが直面している数々の問題に対する解決策を国内、海外のパートナーと共同で解決することを目的とするものです。
まったく不適切な環境影響評価にもかかわらず、この計画は地域の検査官により揺れ動いていますが、BSPBの精力的な反対運動後にブルガリア環境大臣によってのみ却下されるのです。今回の勝利はブルガリアが開発に適切な規制を設け、‘ブルガリア再生可能エネルギー実行計画’の採用により具体化した重要な自然保護サイトの保全を行う方向に流れが変わってきた表れのようです。
環境大臣の決定を覆すという、法的事項における今回の判決は完全に間違っています。計画が明らかに欧州法に違反する場合に環境大臣の決定を覆すことは誰の利益にもなりません。もしこのプロジェクトが無理やり進められれば、欧州委員会は欧州裁判所を通してブルガリア政府に対してこのプロジェクトの中止とアオガンに生じたダメージを回復することを求める強いアクションを取るでしょう。これはブルガリア政府にとっては頭の痛いことになり、ブルガリアの司法当局にとってもダメージを与える告訴になります。
BSPBとブルガリア環境省は最高行政裁判所に対して今回の判決を取り消すための上告を行いました。バードライフ・ヨーロッパは同裁判所が上告を支持するように強力に働きかけており、その結果、アオガンが重要な越冬地で過去何世紀もやってきたように自由に採餌が出来ることを求めています。