中国でのシギ・チドリのかすみ網猟でヘラシギの新しい越冬地に脅威が

調査地で見つかったかすみ網   
写真提供:Jonathan Martinez   

2012年12月に広東省雷州市に近いFuchengで4羽のヘラシギが発見されました。他の幾つかの観察例と合わせると、この記録はヘラシギがこれまで考えられていたよりも中国南部の海岸の広い範囲で越冬していることを示します。ところが、チギ・チドリ類の大規模な罠猟の証拠が見つかっており、この脅威に対処する活動が必要です。

今回の発見は、香港バードウオッチング協会のジョナサン・マルティネスとリチャード・リュースウェイトにより、中国南部におけるヘラシギの冬季分布を調査するプロジェクトにより行われたものです。彼らは広東省南西部の9つのサイトを調べ、このヘラシギの群れをFuchengの広いエリアにある水の抜かれた養魚池で見つけました。今回の場所は、1930年代にフランスの鳥類学者ピエール・ジャブイエが冬季にはヘラシギは非常に多いと記述し、また2003年3月に南中国絶滅危惧動物研究所のFasheng Zou教授が3羽を記録した場所の近くです。

2005年以来、中国南部の各地で冬季のヘラシギの観察が相次ぎ、以前に考えられていたよりもこの地域が本種の越冬地として重要であることを示していました。ヘラシギの越冬地の最北端は福建省の岷江河口で、ここでは近年本種が毎年越冬しているのが観察されています。他にも最大3羽までの観察例は広東省南西部のXitao、香港のマイポ、江西省のQinzhou湾、海南島のChanghua河口などから寄せられています。現在の調査プロジェクトは今後も福建・江西・海南の各省で続けられので、新たなヘラシギの越冬地が見つかることが期待されます。

2003年にかすみ網に掛かっているのが見つかったヘラシギ
写真提供:Fasheng Zou

2003年に湛江(Zhanjiang)で記録された3羽のヘラシギのうちの1羽は罠猟の網に掛かったものでした。それ以後、罠猟問題はむしろ悪化しており、不法なかすみ網猟がヘラシギや他のシギ・チドリ類の主な脅威になっています。調査チームは期間中に合計460張りのかすみ網を発見しましたが、その標準サイズを25mX3mとすると、発見された網の全長は11.5キロメートルに相当します。かすみ網はシギ・チドリの塒となる養魚場、塩田、海岸の砂洲および田んぼや湿地の傍に平行線状あるいはV字型に張られます。

調査で分かったシギ・チドリ類の罠猟の実態は野生生物の保護に責任を持つ広東省森林局に報告されました。現在、ヘラシギやその他の渡り鳥の重要なサイトでの罠猟問題(他の不法狩猟も含め)に対処するためにどのように地域政府を支援するかについて中国のバードウオッチャーと保護活動家の間で討議が行われております。

“中国南部でのヘラシギの非繁殖期における分布の研究”プロジェクトは香港バードウオッチング協会が行い、香港のオーシャンパーク保護基金が支援をしています。また同プロジェクトは福建野鳥の会、厦門(アモイ)野鳥の会、寧波(Beilun)河口国立自然保護区および嘉道理(Kadoorie)農場植物園保護区のパートナーシップにより実施されています。

 

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