イギリスは1966年以後4,400万羽の野鳥を失った
‘2012年版イギリスの鳥の現状報告’によれば、イギリスは毎時平均50羽のイエスズメを含め、この半世紀内に4,400万羽を超える国内で繁殖する鳥を失いました。
科学者はイギリスで営巣する鳥は1966年の2億1千万羽から現在の1億6,600万羽に急減したと推測しています。報告書に収められているこのショッキングな統計は、イギリスの鳥の個体数の増減を図で示しています。
報告書には勝者と敗者の両方が居たことを示しています。
最大の敗者の一つがイエスズメで、この10年間には回復し始めていますが、初めて全野鳥種のモニタリング計画が実施された1966年と比較して、個体数がおよそ2,000万羽減少しています。
鳥の減少については土地の利用方法の変化が原因であるという説明がある一方で、沿岸水域の管理が影響したとも考えられています。場合によっては、鳥にとって適切な営巣地を見つけたり、夏あるいは冬に餌を取るのが難しくなっています。
寒冷な気候も影響を与えており、特にミソサザイに驚くほどの影響が出ていると信じられています。今でもイギリスで最も数の多い鳥であるミソサザイは2000年以来毎日835羽が失われています。イエスズメの減少の理由についてはまだ完全には分かっていません。
RSPB, 英国鳥類学トラスト(BTO), 猟鳥・湿地トラスト(WWT), バードライフ・インターナショナルおよび政府当局など主導的団体からのデータを利用したこの報告書によれば、農耕地の鳥の個体数は1970年の半分以下になっています。
専門家は英国で繁殖する鳥が平均毎分1ペアの率で田園地帯から消え去っていると言っています。
この報告書の作成に関わったRSPBの科学者マーク・イートンは「1960年代に英国にいた鳥の5羽に1羽が居なくなってしまったと考えるとショッキングです。特に、1966年以降に4,400万羽が失われたというのは、イングランドとウェールズの現在の成人人口に等しいことを思うとひとしおです。」と言っています。
残念ながらイギリスの2種の海ガモであるビロードキンクロとコオリガモは今世界的に絶滅の危惧があると考えられています。
一方、良いニュースとしてはサンカノゴイ、ウズラクイナ、ヨタカの個体数が、おそらくは保護活動に守られた結果、個体数の順調な回復を示しています。
また、ズアオアトリもこの間に毎日150羽の率で増加しています。
英国で繁殖が始まったのが1955年からだったために以前は個体数が非常に少なかったシラコバトも今ではおよそ百万ペアにもなっています。
これに対して近縁のコキジバトは1966年には14万繁殖ペアが広範囲に生息していましたが大幅に減少し、今では14,000繁殖ペアになったと考えられます。
この報告書では英国海外領の鳥の個体数も調査しており、南大西洋の火山島トリスタン・ダ・クーニャ島とガフ島に生息するキタイワトビペンギンに対する懸念を強調しています。かつては数百万羽見られた本種の個体数は餌、病気、捕食などあらゆる可能な原因により崩壊してしまいました。