絶滅したと考えられていたコウライウグイスのサンクチュアリが設立されました

ヒメコウライウグイス
写真提供: © Merlijn van Weerd

樹冠を背にすると完璧なカモフラージュとなる、黄色とオリーブグリーン色の羽衣を持つ、フィリピン・ルソン島の低地森林の固有種ヒメコウライウグイスはなかなか人の目に触れることはありません。実際に数十年もの間観察されていませんでした。

急速で広範囲に及ぶ森林伐採によりルソン島の森林の多くは失われ(場所によっては1930年代よりも83%も減少)、ほとんど知られていなかったこの鳥の個体数は減少し、1993年に再発見されるまで絶滅したものと考えられていました。

現在は少数の個体群がまだ生き残っていることが分かっていますが、本種は依然としてその森林生息地の喪失と細分化により極めて絶滅のリスクが高い状態です。近年ではヒメコウライウグイスはルソン島全体で僅か5ヶ所に点在しているという記録があり、成鳥の個体数が推定50~249羽であることからIUCNのレッドリストで絶滅危惧ⅠA類にランクされていることもうなずけます。

希少性の高さから、ヒメコウライウグイスの食性や営巣などの習性がほとんどわかっていないだけでなく、その声さえ2003年になるまで公式に録音されていませんでした。けれども、‘保護リーダーシップ・プログラム(CLP)’からの資金と支援によるプロジェクトによって、かねてより切望されていたこの鳥に関する情報を幾分かやっと入手することができました。

本種の生存のための「ORISプロジェクト(ORISはヒメコウライウグイスの学名の短縮形)」が、イサベラ州立大学とMabuwaya基金との協力により若い保護活動家のチームによって実施されます。このプロジェクトの目的はルソン島内に残っているヒメコウライウグイスに適した環境を全て調べ上げ、保護戦略を立て、本種の認識向上キャンペーンを始めることです。例えば、本種や同じ生息地を共有する他の種の長期的な存続のために重要な、残された森林のシンボルとして本種を売り込みます。

ORISプロジェクトは地元のコミュニティのヒメコウライウグイスへの関心を高める助けになっています 写真提供: © Joni Acay

ORISプロジェクトは地元のコミュニティのヒメコウライウグイスへの関心を高める助けになっています
写真提供: © Joni Acay

このプロジェクトは2012年に活動チームが「保護リーダーシップ・プログラム(CLP)」から「未来の保護活動家賞」を受賞したことで始まりました。CLPは、アフリカ、アジア、太平洋諸国、南アフリカ、ユーラシア全土で若い自然保護活動家がプロジェクトを支援するプログラムで、重要な生息地や種の保全活動を行っている若手活動家のリーダーシップ研修などを行っています。バードライフ、ファウナ&フローラ・インターナショナル、野生生物保護協会が共同で進めているこのプログラムは、助成金の支給だけでなく、その支援、教育、人脈形成、および成功を収めたプロジェクトに関わった利害関係者やコミュニティとの交流が含まれます。

「ORISプロジェクト」に関わってきた関係者の数年分の苦労は、この8月に報われました。バガオ市のサンタ・マルガリータにある5,500ヘクタールの森林が野生生物サンクチュアリになったのです。これにより、ヒメコウライウグイスだけでなく、壮観なフィリピンワシなど他の絶滅が危惧される固有種にとっても重要な生息地が保護されることになったのです。世界最大の猛禽類の1つであるこのワシも、過去にCLPの支援で保全活動が行われたことがあります。

 

報告者: Alex Dale

 

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