有り余るほど居た鳥の減少はリョコウバトの運命に酷似
細心の調査によれば、ユーラシア大陸で最も数が多かった鳥が90%も減少し、1980年以後生息地が5,000キロメートルも後退しています。
シマアオジはかつてはフィンランドから日本までヨーロッパやアジアの広大なエリアに分布していました。科学雑誌‘Conservation Biology’に掲載された新しい調査によれば、主として中国での持続可能でない狩猟が個体数の劇的減少だけでなく、現在でも本種を見ることが出来る場所での減少に影響していることを示唆しています。
「これほど広いエリアに分布していた鳥がこれほどの規模と速さで減少するのは、産業規模の狩猟により1914年に絶滅したリョコウバト(注: 北米大陸に生息した渡り性の大型のハト。かつては世界で最も個体数の多かった鳥で、18世紀には50億羽居たと推測されている。食用と羽毛の採取のための乱獲と生息地の喪失で絶滅した。)を唯一の例外として、前例がありません。シマアオジの減少も大規模な狩猟が原因であると思われます。」と論文の主筆者ミュンスター大学のJohannes Kamp博士は言いました。
シマアオジは東ヨーロッパ、ロシア(欧州部分)、西および中央シベリアの大部分、および日本からほぼ姿を消しました。
渡りの時期と越冬地ではシマアオジは大群で塒に入るので大量に罠にかけることが容易です。昔から彼らは食糧としてこのような塒でカスミ網による罠に掛けられました。
当初の減少の後、中国で‘ライス・バード’と呼ばれているシマアオジの狩猟は同国で1997年に禁止されました。けれども数百万羽ものシマアオジや他の鳴禽が2013年までは食用に殺され、闇市で売られていました。東アジアの経済発展の結果これらの鳥の消費は増加し、ある推計によれば2001年に消費されたホオジロ類は中国の広東省だけで100万羽にのぼります。
「この減少を逆転させるためには野生生物を食べることの結果についてもっと人々を教育する必要があります。また、法律の執行に関する効率的な報告システムも必要です。」とバードライフの主任研究員のシンバ・チャンは言いました。
「シマアオジの話はこの地域の多くの種の個体群についての傾向を私たちがほとんど何も知らないことを示しています。このような減少はアジアの普通種の鳥の広範な問題の一部であるという証拠が増えて来ています。私たちはこのような問題に効果的に取り組むために状況をもっとよく理解しなければなりません。」
東アジアでは共同でのモニタリング活動が緊急に必要です。日本、中国、韓国およびロシアの間での新合意はこの地域の渡り鳥の共同モニタリングを進める第一歩です。状況があまりにも深刻なため、CMS(移動性野生動物種の保全に関する条約)では2017年までにその生息地全域でシマアオジを復活させる国際行動計画を策定することに合意しました。
「この10年間にバードウォッチングが中国では益々ポピュラーになって来ました。バードウォッチャーは今後のデータ収集で重要な役割を持つでしょう。今こそ保護活動のために人々を動員して地域全体でのこの懸念される減少に取り組むべき時です。」とシンバ・チャンは言いました。
(報告者: マーチン・フォーリー)
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