クロスリバーゴリラは依然として深刻な危機に

クロスリバーゴリラ 写真提供: © WCS

クロスリバーゴリラの重大な脅威となっている高速道路建設プロジェクトが、政府による路線変更の努力にもかかわらず、依然としてこの象徴的で絶滅の危惧が極めて高いこの種が完全に姿を消す恐れがあるとナイジェリアの自然保護団体が警告しています。この高速道路はMbe山脈で繁殖するズアカハゲチメドリやナイジェリアでは珍しいセリンヒヨドリなど280種以上の象徴的な鳥の脅威でもあります。

2017年4月にナイジェリア当局が6レーンの高速道路のルートを変更する意向を表明した際、保護団体や一般市民の期待は膨らみました。その意向とは、生物多様性のホットスポットであり、絶滅が危惧されるクロスリバーゴリラを含む数種の野生生物の生息地を守るため、ルートをクロスリバー国立公園の中央部から西側に変更するというものでした。しかし、実際には変更ルートの計画がまだ何も示されていないのです。このことは多くの希少種の生息地となっているこの世界的な生物多様性地域への脅威が解消されていないことを意味します。

「提案されている高速道路は、これまでの3回の環境アセスメントの報告結果はひどいもので、基準以下、詐欺的、国の法律と国際的な最善実施例を順守していないとの批判を受けています。」とバードライフのナイジェリア・パートナーのNCF(ナイジェリア保全基金)の理事Adeniyi Karunwiはコメントしています。

「世界森林ウォッチ」が発行した変更ルート案(赤線)は依然として原始林や保護区を通っている。

NCFの報道発表では、ナイジェリアの環境省が、明らかな欠陥はあるにもかかわらず条件付きで環境影響評価(EIA)第四版を承認した7月29日付の手紙について触れています。NCFはこのエリアの開発を支持していますが、このような大型のプロジェクトは影響を受けやすい生態学的エリアや生物多様性を破壊してはならず、関連する法律や協定に適合しなければならないと主張しています。1992年の環境影響評価法に規定されている環境および社会的影響調査も必要です。

「クロスリバー州政府はプロジェクト着手前の2週間以内に23の条件を満たさねばなりません。その中には、プロジェクトの影響を受ける全ての人々とコミュニティへの補償金の支払い、クロスリバー国立公園およびEkuri森林から変更されたとされている高速道路のルートの座標、調査、地図の作成、以前に検討された高速道路の両側の10㎞に及ぶ緩衝帯に関連する官報の発行などが含まれます。」とKarunwi氏は言いました。

(左)高速道路の提案された地図  (右)同変更ルートの提案された方向
資料提供: © WCS

NCFは、高速道路の代替ルートの地図に関する出版物や青写真はありますが、政府はまだ新ルートを示す新しい指令の準備できておらず、更なる環境影響評価(EIA)を必要とするだろうと言っています。

NCFによれば、以前のEIA報告では幾つかの重大な問題が提起されましたが、まだ適切な対応が取られていません。それには、適切で正確な基本データ、ルートの費用対効果とプロジェクトの明確な正当性、近隣の保護区に対する高速道路による影響、エリア内の多くの希少種や危惧種への言及、緩和対策、ステークホルダーの関与、文書に示されている21ヶ所だけでなく、およそ180のコミュニティに対するプロジェクトが与える影響の社会、経済的研究、および連邦環境省により与えられた暫定的承認のための23の条件などが含まれます。

アフリカで増大する開発への要求や森林伐採と採鉱作業のための道路建設は多くの動植物の破滅につながります。

「バードライフはアフリカの開発を支援します。けれどもアフリカの繁栄に伴って、政府は生態系や生物多様性を守らなければなりません。アフリカの社会、経済発展を下支えするものだからです。」とバードライフのアフリカ政策、支援コーディネーターのKen Mwatheは言いました。

 

報告者: Jude Fuhnwi

 

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