インドネシア・ハラパンの森 視察報告
バードライフやBurung Indonesia(インドネシアのパートナー団体)などが共同で保護活動を進めているインドネシアのハラパンの森では、2015年から2016年にかけて、相次いで大きな森林火災が発生し、森が大きなダメージを受けました。新たな森林火災から森を守り、復元していくため、2016年7月に、緊急を要する活動を支援するために積み立てを行っている「ガラファンド」から、500万円をハラパンの森の保護活動支援に拠出しました。
このたび、活動状況の確認と今後の取組についての意見交換のため、当団体の職員が現地を視察してきましたので、拠出金による活動成果を中心にご報告します。
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(1) 森林パトロールの拠点となるフィールドオフィスの新設
森林火災をいち早く見つけるためには、パトロールを強化しなければなりません。また、パトロールは森林火災だけでなく、野生動物のモニタリングや違法伐採・密猟の監視にも、重要な役割を果たします。これらの活動を効果的に行い、ハラパンの全域を効率的にカバーするために3つのフィールドオフィスが本基金により新設されました。
フィールドオフィスの全景(写真左)と常駐スタッフ(写真右)
フィールドオフィスには、最大8名が宿泊可能で、6名が常駐しています。ソーラーパネルで発電しており、無線機も設置されています。
森の道は、未舗装でスコールによる倒木や浸水で通行が困難な箇所も多くあります。視察中も、4WDの車でもスタックしてしまうことがしばしばあり、新設されたフィールドオフィスへはハラパンの森の管理事務所から片道4時間もかかってしまいました。
フィールドオフィスの新設により、パトロールできる範囲や頻度が改善され、より効果的な活動ができるようになりました。
視察中にスタックし、牽引を行う様子
(2) 消火活動に必要な水を川からくみ上げるポンプの修理・購入
火災が発生した場合、近くの川や森の中に設置されている消化タンクから水をくみ上げて消火活動を実施します。必ずしも水場が近くにあるわけではないので、火災現場まで何台ものポンプを使用して水を運ぶ必要があります。この度の支援では、古くなったポンプの修理に加え、新しいポンプを3台購入することができました。
消火用のポンプとホース(写真左)と森の中に設置されている消火用タンク(写真右)
(3) 消防隊の制服の作成
消火活動では、長時間にわたり火災と対峙することになりますので、耐火服は欠かせません。今回の支援では、耐火服の制服をそろえることができました。また、制服を作ることにより、消防隊員の意識も高まり、結束が強くなりました。消火活動のトレーニングにも日々励むことができています。
消火活動に従事する消防隊
視察を終えて…
約10万haという広大な森林を管理するにあたり、多くの課題に直面しているなか、ハラパンの森のスタッフは、日々の活動の改善に前向きに取り組んでいる姿勢がとても印象的でした。道路や水道、通信などのインフラが十分に整っていない中での現場対応の難しさを改めて感じることができました。一方で、皆さんのご支援のおかげで、確実に状況が改善していることも知ることができました。これらの現場の状況や活動成果を的確に伝えていくことの重要性を改めて認識しました。今後も発信を続けて参りますので、引き続き、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。
森の復元のため在来種の苗木の育成(写真左)やドローンによる植生調査(写真右)も実施されています。