‘熱帯’ヨーロッパでの野鳥の保護

ギアナイワドリ
写真提供: © Maxime Dechelle

EUの自然保護法(野鳥指令と生息地指令)を考えると、欧州全土が十分に保全されていると思ってしまいます。けれども皮肉なことに生物多様性が豊かな場所が多いその海外領土はEU環境法の枠組みでは守られていません。その結果、それらの地では外来種、生息地の喪失、固有種の絶滅などの問題で苦しんでいるのです。

レユニオン島、マルティニーク、フランス領ギニア(すべてフランスの海外領土)は格好の例です。フランスのバードライフ・パートナー LPO はフランス海外領で地元の鳥類学パートナーたちと絶滅の恐れがあるレユニオンオニサンショウクイ、ギニアイワドリなどを守る活動をおこなって来ました。これは5年間に亘るLife+Cap DOM プログラムによるもので、6月30日―7月1日にパリで開催されたセミナーをもって終了しました。これはフランス海外領における地元の鳥類学NGOのネットワーク創設とその動物相保護を含む初めてのLife+プロジェクトでした。

ネズミの撲滅

 

レユニオンオニサンショウクイ 写真提供: © Yabalex

レユニオンオニサンショウクイ
写真提供: © Yabalex

レユニオンオニサンショウクイは2008年以来絶滅危惧ⅠA類とされています。その個体数は外来種クマネズミによる捕食で著しく減少しました。クマネズミはレユニオン島のピクニック客が残した食べ物により大繁殖しているのです。2010年にLife+プロジェクトが始まった時にはレユニオンオニサンショウクイの世界全体での個体数はRoche-Écrite自然保護区(現在はレユニオン国立公園の一部になっている)に生息する27ペアが全てでした。

レユニオン島のような島では種は捕食者や病原体が居ない状態で進化し、その結果後から入って来た外来の捕食動物に特に弱くなってしまいます。レユニオンでの鳥類の絶滅率は50%を超え、その原因の半分以上は新しい捕食動物が入ったことによります。

レユニオン国立公園の中心部でSEOR(レユニオン鳥類学会)、レユニオン国立公園、森林委員会によりネズミの駆除が一年を通して行われました。その結果レユニオンオニサンショウクイの個体数は2015年に40ペアに増え、卵の92%が孵化に成功しました。本種の繁殖地も一年におよそ9%広がっています。

 

ボランタリーのレスキュー隊

 

レユニオンチュウヒ 写真提供:  © Yabalex

レユニオンチュウヒ
写真提供:  © Yabalex

 

レユニオンチュウヒはレユニオン島で繁殖する唯一の固有の猛禽です。個体数が200ペア以下であることから絶滅危惧ⅠB類に指定されています。それにもかかわらず本種は何年にも亘り密猟で殺されたり籠で飼われていました。狩りをする時の飛行高度が低いことから電線への衝突で死ぬこともしばしばあります。また殺鼠剤で死んだネズミを食べて死ぬこともありました。

 

本種保護のために、国と地域の当局が相談して保護の枠組みが作られただけでなく、2012年には77人からなるボランティアのグループ‘Papangue(レユニオンチュウヒの現地名)SOS旅団’が、3ヶ所のサイトで本種の個体数をモニターし、怪我をしたり毒物を食べた鳥を報告し、地元の農民、住人および獣医に問題への認識を持つようにするために編成されました。

 

オレンジ(色の鳥)が新たなレッド(危惧種)に

テレメトリーによるイワドリのモニタリング 写真提供:  © G. Feuillet

テレメトリーによるイワドリのモニタリング
写真提供:  © G. Feuillet

 

仏領ギニアでは人目を引くギニアイワドリの限られた営巣地が経済的可能性、即ち、金鉱山、木材搬出、密猟と違法動物売買および無秩序な野生生物観光のために脅威を受けています。

ギニアイワドリは果実食で、主に樹洞のある樹木の森に住むので、ギニア鳥類研究・保護協会は本種の最も敏感なエリアに関する情報の提供のために地元のツアーガイドおよび鉱山会社と共同で活動をしています。ツアーガイドには本種の観光客による攪乱への脆弱性についても知らせています。観光客用の道が、本種がレック(繁殖ディスプレーの場所)に居るところを見やすくするために再整備され、観光客による攪乱を減らすためにハイドが建設されました。

報告者: Sanya Khetani-Shah

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