国連気候変動会議(リマ会議): 勢いをつけることに失敗

2酸化炭素1トン分の模型    写真提供: Edward Perry
国連の気候変動会議はペルーの環境大臣Pulgar Vidalが各国政府に‘世界に希望を与えよう’と懇願したことにより、予定を30時間以上もオーバーして日曜日の早朝まで掛かってしまいました。
リマ会議にはある程度の楽観論がありました。世界最大の炭素排出国の中国、米国および欧州が事前に排出量の削減目標を話し合っており、各国も総額100億米ドルの‘グリーン気候基金(GCF)の拠出を約束していたからです。しかし、がっかりしたことには、各国政府はこれを契機にした2020年以後の気候変動に関する国際合意のためのしっかりとした基盤を作る機会を逃したのです。
「リマでの合意は最低限のものでした。」とバードライフの気候変動政策コーディネーターのエドワード・ペリーは言いました。「この合意は一応2015年パリ合意を実現可能なものにしていますが、自信を持たせるには程遠いものでした。」
「気候財政・支援準備金、排出削減に対する国別責任、ロスとダメージへの対処法などを含む、各国を分離させるような基本的問題が多数あるのです。」とバードライフ・インターナショナルの科学・政策・情報担当役員のメラニー・ヒースは言いました。「これらの問題は次回のパリ会議までに解決しなければならないでしょう。」
各国はパリ会議に備えて2月にジュネーブで討議される予定の討議事項を作成するなど可能な要素については進展がありました。しかし、各国の2020年後の対気候変動行動誓約、通称‘INDC’の中身については制約のあるガイダンスが出て来ただけで、その内容は2015年の初めに明らかににされることになっています。
「心配なのは気候変動を上限摂氏2度に留めるというINDCの妥当性と、各国の提案の公平性をしっかりと評価することが欠けていることです。」とUNFCCC(国連気候変動枠組み条約)に精通しているジョン・ランチベリーは言いました。エドワード・ペリーが言ったように、「幾つかの汚染大国による自国の誓約への評価に対する抵抗は信頼関係を台無しにします。」
2020年以前の排出削減交渉も期待を下回りました。「地球温暖化を産業革命前のレベルの摂氏2度以内に止めるためには、世界の排出のピークを2020年より持って来なければなりません。けれども、私たちは現在この目標から外れており、リマ会議では軌道に戻すのに必要なスケールの対応が合意できませんでした」とバードライフのメラニー・ヒースは言いました。
特に失望したのは、先進国が約束していた、2020年までに年間1,000億米ドルの資金を拠出するという目標のための明確なロード・マップの作成に合意できなかったことです。「発展途上国が気候変動に適応し、自身の排出削減貢献を前進させることが出来るようにするための相当額の予定可能な資金の流れが緊急に必要です。」とエドワード・ペリーは言いました。
明るい面としては、土地利用、土地利用の変更と林業(LULUCF)およびREDD+のための‘気候行動のためのリマ要求’に国の誓約と短期の削減目標に含まれたことです。けれどもREDD+の重要な決定である‘予防対策情報システム(SIS)’が来年に延期され、そのためにREDD+が生物多様性と人権を危うくし、投資家の信頼を損ねる危険を犯すことです。
「私たちは気候変動に対する行動が遅いのです。既に最も脆弱なコミュニティ、種、生態系に気候変動の影響が現れています。」と、エドワード・ペリーは言いました。「確かに漸進的な進展はあります。けれども私たちは低炭素と気候変動からの回復力のある経済への可及的、基本的なシフトを必要としているのです。各国政府は今後の12か月に有効かつ公正な2015年合意を確かなものにするための勇敢で緊急な行動が必要なのです。」
(報告者: マーチン・フォーリー)
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