韓国・平昌での生物多様性条約COP12の成果に関するバードライフの見解

各国政府は2020年生物多様性目標を達成するために一層の努力をする必要があります
写真提供: rspb-images.com

バードライフは10月17日に閉幕した韓国での生物多様性条約(CBD)の第12回締約国会議(COP12)の結果について大筋で肯定的です。各国政府は遺伝子資源の利用から得られる利益の保全、持続可能な利用、公正・公平な共有に向けてのそれぞれの活動を改善することを目的とする33の決議を承認しました。全ての参加政府は2010年のCOP10で合意した2020年保護目標を達成するには活動と財政的資源を持続的に増加させなければならないことを認めました。分野によって具体的な進展がありましたが、他ではそれほどではありませんでした。

重要な決定の詳細:
・地球規模生物多様性概况第4版(GBO4): 国際社会は生物多様性愛知目標を達成するための軌道に乗っていないと報告された。
今回のCBDの最も重要な報告書であるGBO4はCOPの初日に発表され、2011-2020年生物多様性戦略計画の実施に関する中間報告を提供しました。その結果は正に期待外れのものでした:55の目標要素のうちの僅か5つに十分な進展があっただけでした(進展度を測定するために用いられた指標のうちの22%にバードライフのデータが貢献)。世界の多くのエリアで進展するどころか、むしろ逆行しています。平昌会議に参加した政府代表の中にはこのような結果を隠そうとしましたが、他の政府やNGOによる圧力によりそれらは種々のCOP決議の中やCOP12‘江原道(Gangwon)宣言’で明らかにされました。
各国は2016年に次回会議が行われるメキシコに集まる前に保護対策のペースを上げる必要があるでしょう。
・生物多様性のための資源の動員: より良い自然保護資金調達のための小さなステップ
資金調達に関しては、バードライフはCOPで行われた歩み寄りを歓迎しています。小さなものでしたが、正しい方向へのステップがありました。先進国と発展途上国が、後者に対する自然保護のための財政支援を増加するべきかどうかについての議論に参加しました。アフリカ、ラテンアメリカ、アジアの政府からの当初の呼び掛けこそ広まりませんでしたが、今ではCOP11と比べると資金供与の約束が増加しています。前回のCOPでは2015年までに発展途上国への援助を2倍にし、これを2020年まで維持するという目標が暫定的に合意されました。今回、2倍にすることに加えて、能力構築に関する特定のプロジェクトや国の生物多様性資金調達計画など他の財政関連目標を達成するための追加資金が合意されました。
バードライフは各国内からの資金調達に関する決定も称賛しています。今回初めて全ての政府が資金ギャップを埋めるために一層の努力をし、合わせて自然に対して有害な助成金を改めるよう積極的に取り組むことを決定しました。
・海洋保全: 大きな進展があるがヨーロッパはまだ遅れている。
会議参加国は150以上の海洋生物多様性重要エリア(生態的、生物多様性上重要なエリア:EBSA)のリストを確認しました。これは今後保全の機会が増加することを意味します。この件に関するあらゆる決定は政府次第で、また他の国連加盟国内での合意のもとに行われるべきです。幾つかの国による不信感がまだ広がっているようで、会議で決定された報告書から10数か所のエリアが却下され、政治的・政策的なことが決定の真の推進力でした。このプロセスに常に関わってきたEUには大きなギャップと、いかに政治問題が自然保護のフォーラムを支配するかの証拠が残されたままです。北東大西洋地域に対しては何の提案もありませんでした。
・世界の開発目標における生物多様性: 持続可能な開発
平昌では各国大臣や代表団のヘッドが、開発に対する生物多様性の関連性と重要な貢献、および、愛知目標を全てのレベルで2015年以後の開発課題、特に‘持続可能な開発目標(SDG)’に統合するための努力を続ける必要性を認識して‘江原宣言’を採択しました。同宣言は貧困と気候変動、持続可能な経済発展、そして平和のための戦いは自然と共にあってのみ可能だと掲げています。
・実施中の名古屋プロトコル: バイオパイラシー(生物資源の盗賊行為)に対する道標
名古屋プロトコルに合意した50の締結国もその第1回締結国会議(MOP)を平昌で行いました。この拘束力のある合意は生物資源の利用により生ずる利益へのアクセスと共有を統制するものです。例えば、これは製薬会社や化粧品会社が製品に植物や動物由来の成分を使った時に適用されます。同プロトコルが実施されることにより、遺伝子資源の原産国には将来誰が彼らの原材料を使用できるかや、彼らも利益の配分に含まれるということに発言権を持つことになります。同プロトコルの実施が開発途上国にとって自然保護のインセンティブになることが期待されています。
・バードライフが影響を与えた: 沿岸湿地保全のための新イニシアティブ
COP決議に沿岸湿地の保全と復元のための世界的な動向である‘沿岸管理イニシアティブ’が含まれたことは、間違いなく会議へのバードライフの参加による大きな成果でした。パートナー団体と共にバードライフは、締結国は生物多様性と生態系の機能とサービスにとっての沿岸湿地の重要性を認識し、このイニシアティブを将来の活動のオプションの一つとして受け入れるべきであることを示唆しました。
・情報の共有: バードライフは生物多様性条約を支援する
バードライフはCOP12において、世界のパートナーシップからの24団体を代表しました。いろいろな特別な活動を企画したことに加えて、代表団は背景情報を提供し、締結国に妥協案を作成するよう求めて交渉に携わりました。合計15のサイド・イベントの中で、バードライフのチームは、生物多様性の主流化、渡り鳥とハゲワシの保護、NBSAP(生物多様性国家戦略・行動計画)の実施、自然保護への地域コミュニティの貢献などに及ぶ様々な、現場での自然保護活動と政策策定プロセスの経験を共有しました。締結国のためにバードライフが開発した支援ツールの共有も今回のCBD COPでの歓迎されたイニシアティブでした。
(報告者:キャロライナ・ヘイザン)
 
 
 
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