経団連自然保護基金:絶滅危惧種コサンケイの野生復帰
プロジェクト背景
ベトナムの固有種である鳥のコサンケイ(Lophura edwardsi、絶滅危惧ⅠA 類)は、かつてベトナム中部に広がる低地林に生息していましたが、ベトナム戦争時にオレンジ剤をはじめとする大量の除草剤が散布されたことにより森林が枯れ、生息地が減少しました。さらに土地開発や密猟などにより、2000年以降野外では生存が確認されておらず、野生での絶滅が危惧されています。
バードライフは、ベトナムのパートナー団体Viet Nature Conservation Centerと協働し、絶滅を回避するための野生復帰プロジェクトを進めています。現在ヨーロッパ、アメリカ、ベトナム、日本などの動物園に飼育個体が残っており、今回はハノイ動物園から数羽を引き取り、飼育を始めます。
コサンケイの飼育繁殖から放鳥までには10年以上の長期的な期間が見込まれ、2018年はその第一歩となります。最終的にはバードライフが30年間の管理権を所有するKhe Nuoc Trong地区の豊かな森にコサンケイを放し、野生に返すことを目指しています。
プロジェクト活動地
プロジェクト概要
2018年の活動は、下記を計画しています。
- 保護増殖センターの建設
- コサンケイの飼育繁殖
- 環境教育センターの建設/運営
- 小中規模の環境プロジェクト評価ツール「PRISM」を活用した影響評価
- カメラトラップの設置
まずコサンケイを飼育する保護増殖センター建設し、ハノイ動物園の飼育下にあるペアを譲り受けて個体数を増やします。飼育については、英国ペイントン動物園で研修を受けたスタッフが対応します。また、普及啓発のために環境教育センターを設立し、地域住民や来場者に対してコサンケイ保護の重要性を周知し、密猟防止や環境保全を促進させます。
また、ケンブリッジ大学やUNEP、IUCNなどの国際組織と共同開発したプロジェクト評価方法である「PRISM」を活用し、プロジェクトの影響評価を行います。2018年6月には評価に関する事前調査のため、バードライフ職員が現地を視察し、地域住民や地方政府などにヒアリングを行いました。その他、カメラトラップを設置し、コサンケイの生息確認や、生息適地の調査を行います。
今後はセンターの建設やコサンケイ個体の飼育繁殖を進めつつ、地域住民の理解を深めるための普及啓発・環境教育、森林パトロールによる密猟や違法伐採の阻止、継続的な支援金の確保なども必要となります。
PRISM評価のための現地視察の様子(2018年6月)
森林が復元しない山々
野生生物の棲む豊かな森も存在する
学校の教員への聞き取り
クァンビン省 森林局と現状の話し合い
観光客へのコサンケイ認知度アンケート
ツアー会社へのインタビュー
Viet Natureカメラトラップ担当者
カメラデータベース
このプログラムは経団連自然保護基金の助成金により進められています。
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