レッド・リストとバードライフ・インターナショナル
レッド・リストとは
レッド・リストは絶滅のおそれのある野生生物の名称、カテゴリー等の最低限の情報のみをリストするもので、最初のリストは1966年にIUCNによって作成されました。その後、各国の政府機関や地方自治体、学術団体などによって、同様のリストが独自に作成され、これらもレッド・リストの名で呼ばれています。これらの多くは、IUCN 版のカテゴリーに準拠した形で作られています。
日本ではレッド・リストやレッドデータブックに掲載された生物に対する法令等の規制はありませんが、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)における希少野生動植物種の指定や環境アセスメントなどの野生生物の保護・保全における基礎資料として用いられています。
レッド・リストの歴史とバードライフの関わり
1950年代以降、国際的な自然保護団体である国際自然保護連合(IUCN)は絶滅の危険にある種のリストを編集してきました。特に、国際鳥類・哺乳類レッドデータブックは、絶滅の危機に瀕した種に注目を向けさせる手段として世界レベルで広範囲に使われ、1960年代前半に普及しました。
IUCNレッドデータブック・プログラムは、1970年代には高等脊椎動物、魚類、無脊椎動物、代表的な植物種まで含むようになり、さらに、危機、危急、希少、未決定、情報不足、脱危惧といったカテゴリーも記載されるようになりました。しかし一方で危惧の深刻さや、絶滅の見込み、過剰狩猟や生息地喪失といった危惧の原因に加え、分断された個体群や単一の大きな個体群というような個体群がかかえる脆弱性を、いかに上記のカテゴリーの分類に反映させるかという問題が生じてきました。
そもそも生物分類群の保全状況に関する統一的な見解と規準づくりを目指していたのは、IUCNおよびバードライフ・インターナショナル(旧国際鳥類保護会議:ICBP)でした。そこで両者が主導する形で レッドデータ・カテゴリーの見直しが行われ、現在のカテゴリー分けの基盤となった1994年版カテゴリーが採択されました。新カテゴリーおよび基準は、まず鳥類に適用され、その最初のリストが「1996 絶滅危惧種に関するIUCNレッド・リスト」として発行されました。
現在は、2001年の会議で採用された基準が適用されています。レッド・リストの作成は各々の分野の専門家によって行われ、鳥類に関してはバードライフ・インターナショナルが一貫して継続的な調査に基づく詳細なデータを反映させたリスト作りを行い、IUCNとともにこの活動をリードしています。