リコー:ブラジル 熱帯林ボアノバにおける森林復元
プロジェクト背景
ブラジル東部バイア州の大西洋沿岸には、南北1,500kmの低地熱帯林が小規模なパッチ状で残っています。この地域は、森林のほとんどが開発され、残存率が7%であるにもかかわらず、鳥類が約300種、哺乳類が5種、爬虫類、固有植物など、多数の希少種が生息・生育し、また、近年でも新種の鳥類が発見される生物の多様性が高い森林地域です。
ボアノバでは、市街地に8,000人、山間に17,000人と森に住む住民が多く、森林資源への依存度が高くなっています。生態系への脅威としては、薪用木の過剰収集、違法伐採、狩猟、森林減少、過剰開発、野生生物の取引、鉱石採掘があげられます。なかでも、住民の自家使用および換金目的の薪の過剰収集が深刻な影響をもたらしており、早急な対策が求められています。
プロジェクト概要
大西洋岸低地熱帯林の森林復元のモデルケースとして、パッチ状の森を緑の回廊でつなぎ、森をひとつの大きな生態系として回復させることを目的としています。
プロジェクト対象地: ブラジル バイア州ボアノバ
プロジェクト期間: 第1フェーズ(2007-2009)立ち上げ
第2フェーズ(2010-2012)協働による取り組み
第3フェーズ(予定:2013-2016)自立に向けた取り組み
共同実施団体:SAVE Brasil
鳥類をシンボルに環境保全を行うブラジルのNGOで、バードライフのパートナー団体
プロジェクトサイト
ボアノバの市街地の遠景
ボアノバの生態系のひとつである半乾燥性の森林
家庭で使用するために採集された薪
プロジェクトの活動内容
第1フェーズの主な活動と成果
- (1) シンボル種アリドリの生態調査の実施
- (2) 小中学校向けの環境教育の実施(延べ3,000名以上)
- (3) 森林減少の脅威となっている薪使用量の調査
- (4) 森林保全活動に対する地主層の取り込み(12名800ヘクタール)
- (5) プロジェクトの広報とメディアの露出(新聞、TVなど15以上)
- (6) ブラジル政府からの助成金獲得(3年間で150,000ドル)
- (7) 川沿いの荒廃地への植林活動を実施(実施中)
- (8) マーケティングの検討(エコツーリズムを視野に入れたお土産品の検討)
第2フェーズの活動と成果
- (1) 森林の調査と植林を実施
- (2) 住民の煮炊き用薪の代用となる早生樹の植林を実施
そのほか、当活動の成果がめざましく、2010年6月、ボアノバ国立公園とボアノバ野生生物保護区が設立され、バードライフのパートナー団体SAVE Brasilが、主要メンバーとして設立に参画しました。
Save the Brazilの活動は、現地で注目され、新聞紹介されました。
第3フェーズの活動
- (1) 国立公園のビジターセンターを開設し、地元NGOに運営を委託
- (2) 国立公園の整備を実施し、自然観察スポット等を掲載したパンフレットを作成
- (3) 国立公園ガイドを養成し、エコツーリズムを推進
- (4) 地元の学校に対する環境教育活動と国立公園への訪問促進
現在、地域の人々の手で自然が復元され、持続的に利用され、それによって人々の暮らしが豊かになる地域づくりを目指した活動を実施しました。
子供向けのフィールド学習
中学生に対する教育
保護区策定に向けた生態調査
民有地の保全に協力する地主との合意と看板の設置
バードライフのパートナー団体SAVE Brasilは、本活動を含む大西洋沿岸林の保全活動が認められ、
環境保全活動に対する最も重要な賞の一つである、ムリキ賞を受賞しました。詳細はこちら。
バードライフのパートナー団体SAVE Brasilが作成した保護区の映像をこちらから(You Tube)ご覧いただけます。