東南アジアにおける湿地管理促進業務(2016年度)

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業務の背景と目的

環境省は、1989年より東南アジア各国の湿地管理能力の向上及び各国の湿地のラムサール条約への登録等を支援しています。2015年度は、ベトナムの紅河デルタに位置するタイトゥイ(Thai Thuy)湿地において経済的価値評価を行い、その結果をまとめたパンフレット等を作成・配布し、同湿地の重要性について啓発しました。

2016年度の業務は、カンボジアのトンレサップ湖南端に位置するストゥン・セン湿地のラムサール条約への登録に向けて、同湿地の生態系や地域住民の状況を把握し、地域住民から州政府までの各ステークホルダーが合意するラムサール条約の登録区域の草案を作成することを目的としています。同湿地には、雨季と乾季で水位が大きく変化する水系に拠水林が発達し、様々な生物が生息する独特な生態系が形成されています。しかし放火や伐採、違法な狩猟・漁業などによって生物多様性の劣化が懸念されています。2015 年6月に開催されたラムサール条約第12 回締約国会議で採択された条約の戦略計画2016-2024 では、条約湿地の面積・数及び条約湿地間の生態学的連続性を顕著に増大させることを目標の一つとして掲げており、新たにラムサール条約登録を目指す本業務はその目標に対応するものといえます。

業務概要と成果

ストゥン・セン湿地に関する調査を実施して同湿地の生態系サービスや周辺地域に暮らす住民の生活の状況を明らかにするとともに、ラムサール条約の登録区域の草案を作成しました。さらにその草案をもとに地域住民、郡政府、州政府との会議を順に開催し、各ステークホルダーの合意を得ることができました。

また、調査結果をもとに、同湿地のラムサール条約登録に向けた機運の醸成および今後のエコツーリズムの進展に資するよう、リーフレットを作成しました。

今後は、カンボジア政府との会議を経て、実際の登録作業に入る予定です。

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ストゥン・セン湿地に発達する拠水林

 

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ホシバシペリカン(IUCN準絶滅危惧種)

 

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地域住民とのワークショップの様子